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目次
  1. 物欲から始まった
  2. 構成品
  3. ソフトウェア/ハードウェアの設定
  4. めでたしめでたし
  5. 課題

遅れて始めたデジタル衛星

なかなかP3Dが打ちあがらないものだから、ついふらっと、KO-23/25に手を出しました。

デジタル衛星とはなんぞや?

JAS2

KO-23/25のデジタルモードというのは、Wisp32というWindows上で動くアプリケーションが出て、メール(メッセージ)の読み書きが簡単に出来るようになりました。

メールはインタネットのメールと似たようなものですが、衛星のブロードキャストの機能により、漠然と受信しているだけでも、いろんな国の人のつまらない話し(無償の媒体だから)が読めることを特徴とします。上記写真はKO-23から降りてきたものです。メッセージの送受信は、一種の蓄積交換なので、地球の裏側で投函されたメールを読み出すことができます。このため、アナログの低軌道衛星と異なり、じつにいろんな国の人と若干の遅れは在りますがメイルのやりとりが出来る筈。低軌道衛星のため、受信は容易(普通のアンテナで十分)です。


  1. 物欲で始まった
    1. IC-821が買いたかった

      IC-375/275でAO-13をやるのが自分のスタイルであったが、AO-13が落ちてしまったのだから仕方が無い。

      これとIC-575の組み合わせでRS-15に臨んだこともあったが、ダウンリンクのあまりの弱さに諦めてしまった。

      個人的にアナログの低軌道衛星は御近所とのリピータみたいで嫌だったし、AO-10は調子悪いしで、すっかり衛星を使わなくなくなったのだが、、

      このところ、なんとなくIC-821が欲しくて、それで何をしようか考えた結果がデジタル衛星である。

      ここらへんは、ポリシーの問題で他人にかまうことがなく、しかも私の場合ポリシーが無いのだからしかたないし、このスタイルだけは譲れない。

    2. ありあわせのものを使う

      ありあわせの物を使う積極的な理由は、IC-821Dの購入だけでオケラになってしまったこと、消極的な理由は、すでにデジタル変復調=DSPの技術的な峠が超えてしまっていて、TAPR のDSPキットとか、そのもっと前のTrakBOXのキットの配布が終わってしまって、どーにもならなくなっているからである。

      書籍など漁ると、YAESU/KENWOODの古典的なリグ+ KCTのトラックボックス+TNCではなくDSP+F9FTなどのクロス八木が、かっこよく思える。

      日本なら、DSPにまで手が回らなくとも、マスプロのクロス八木が上がっているだけで資格は十分である(なんで?)。

      が、なにせアパート住まいなので、アンテナはどーにもならん430側13エレ2列/144側5エレ2列+北側のベランダだけで、KO-23/25とやってしまおうという話しである。実はKO-23/25のダウンリンクは、アナログ衛星とは比べ様もなく強いので、実際これで出来てしまうという程度の予備知識はあった。問題はアップリンクで、そのためにIC-821Dが安くなるのをじっと待っていた。

      TNCはタスコのTNC220(Z80,10Mhz)と、同じくタスコのTMB96G(GMSK,G3RUH互換)で、手元に2組余っていた。Wisp32を使うのだから、DSP-93のキットなぞ使うと立派なのだが、新しく買う予算もないし、(聞くだけ(^^ゞ)値段を聞いてみたところ、昨年末配布し終えたとのこと、諦めた。

      書くのが遅れたが、仰角ローテータはカタログでしか見たことがない。2列の八木なら水平設置で40度以下の仰角まで出来る程度の経験はアナログ衛星であった。

    3. 古いパソコンならいっぱいある

      なんか貧乏臭い話をしてきたが、実は私、古いパソコンならいっぱい持っていることが自慢である。

      衛星の追尾には、方位/仰角,ドップラー補正の2つの要素があるが、このうちのドップラー補正専用にパソコンを一台割り当てるという、リッチなことが出来るのである。


  2. 構成品
  3. TRACK

    結局このようなものでKO-23/25ともにテストのメールを出すことが出来た。

    トランシーバ IC-821D(棚ずれでもなんでもないモロ新品)
    144Mhzアンテナ マスプロ5エレ2列(4年物)+10DFBを30m
    430Mhzアンテナ クリエイト13エレ2列(3年物)+ICOM純正直下プリ(いまいち)+10DFSBを30m
    G3RUHモデム タスコTNC-220+TMB96G
    シリアル制御I/F ICOM CT-17(このために買ってしまった)
    ドップラー補正用PC 普通はローテータ制御と合わせてトラックボックスを使うところを、486PCとDOS版のNOVAで代替
    BP,軌道表示等 今をときめくWisp32
    方位ローテータ テレビ用のケンプロ KR250 コントローラのギアを入れ替えて南天で止まるようにしてある。

    これで、KO-23/25が飛来すると、手で方位ローテータを修正するだけで、あとはパソコンが勝手にやってくれる。


  4. ソフトウェア/ハードウェアの設定
    1. Wisp32
    2. WISP32

      メールの送受信,スケジューラ,TNCの初期設定,トラック制御をするソフトウェアである。

      一台目のWindowsNTのPCに、このWisp32が入っている。Windows95でももちろん使える。Wispは、それまでのBPやらなんやらのこまいソフトを一つにまとめたアプリケーションなので、何も周辺の知識が無くても設定できてしまう。受信だけまともにできれば、勝手にパケットをつないでメッセージを復元してしまうという、いたせりつくせりのソフトウェアである。TNC/G3RUHモデムにつなぐまで、なんら悩むことはない。ただし、トラック制御(ローテータ、トランシーバ)はKCT等のトラッカに対応していてその先にトランシーバのIFを使う形である。このため、直接ICOMのCI-Vを制御できないのが残念。

    3. NOVA
    4. NOVA 1.1

      前出のトラッカの代わりに、もう一台のPCでNOVA(DOSで動くトラックソフト、これは直接CI-Vを制御できる)走らせトランシーバの制御を行う。

      今では配布されていないかもしれないDOS版のNOVAをDOS/VのみのPCに入れ、ICOMのCI-VインタフェースでIC-821につなぐ。これでドップラー補正をするのだ。ところがDOS版のNOVA(Ver1.1)は、IC-820の頃のソフトウェアで、IC-821は選択肢にない。悩んだ末、IC-821のCI-Vインタフェースのアドレス(標準は4CH)をIC-820に合わせて42Hに設定してみたところ、うまく(^○^)使えるようになった。

      そうと知っていれば、慌ててCT-17(メーカー製レベルコンバータ=中身はMAX232C一個(-_-メ)の高い買い物をしなくて作ってもよかったのに。

      とにかく、サテライトのモード(デジタルはFMモードなのでノーマルでもリバースでもない)のとき、NOVAからのドップラーの修正をMain/Subバンド交互に受けるものだから、Subバンドの赤い表示が点滅してCI-Vで制御されていることに気が付く。

    5. 鳴きあわせ
    6. TMB96G+TNC220

      あらかじめIC-821のマニュアルを見てそのとおりのことをすれば、相手モデムとの鳴きあわせはいらない。

      IC-375/275の中からTX/RXを引き出したくなかった(家宝だから)ので、IC-821を買ってしまったというのが本音である。よって工作はIC-821のACCコネクタに96G(GMSKモデム)のTX/RXを繋ぐだけで済む。ディスクリがどーのこーの、使っているICがどーのこーのという知識は不要で、実に楽。スケルチは一旦配線した(理由は別途)が、後で外した。スケルチを配線しないと、8pinのDINソケットでなくても4pinのソケットでIC-821のACCコネクタは使える。このACCコネクタにMain/SubのスケルチとAFの出力を選択(IC-821のソフトウェアセットアップ)できる。ここらへん、設計者が衛星の運用を知っていて実に巧く設計できている。ここらへんが駄目だとモノバンド機2台で出来ることがデュアル機で出来なくなる。

      残るはモデムの調整だが、受信はそのまま、送信のレベルは実はオシロが必要(このためにだけ持っている)なのだが、IC-821は簡易のオーバーレベルをカットする機能があって、TNCに

      cmd:CAL

      と打ち込み送信のLEDが明るく点灯するようにモデムのTXレベルを調整すればOK。デビエションだなんだかんだの鳴きあわせがいらない。

      ついでに予備の96Gもこれで調整してしまった。実に便利。この時SubバンドのLEDが赤くつくので「へー」と思った。普通のデュアル機はSubバンドで送信しないものである。ここらへんをもって「サテライト機能つき」というのだろうか?


  5. めでたしめでたし
  6. 珍しくうまくいっている。

    始める前は、北天だけで実用になるか?アップリンクが弱くないか?いろいろ心配ではあった。が、結局仰角40度を越えなければ、59+で受信でき、BPにつなぐことができる。IC-821欲しさに始めたことだが、買ったその日にメールを出せるようになったので、十分満足できる買い物だといえる。もっとも、すべてメーカーの製品でそれを繋いだだけなので、こうでなくてはお客さんは怒ってしまう。

    CI-V

    CT-17を買ってしまったのは実に恥ずかしい。例えばCT-16ならIC-275/375でIC-821のサテライト機能(実はこんなもの要らない)に相当する動きをするブラックボックスなのだが、CT-17は中身が容易に想像できるので作れば良かった。それだけにCI-Vは今後楽しみな周辺機器ではある。HFで使うにはCT-17を買ったほうがいいかもしれない。無線機メーカらしいコイル類がCT-17には使われており、誤動作などの失敗ががないとおもう。


  7. 課題
  8. 買った物を繋いだだけなので、もうすこし工夫できるところがないか考えてみた。

    1. どこに投資すべきか

      アンテナか?ローテータか?トラックボックスか?

      Wispが動くところを見ているのが楽しいので、留守中すべて自動で動くところまでやってみようとは思わない。仰角ローテータがないと駄目なオービット(50度以上の仰角が長く続く=真上を通る時)もあるが、必ず降りてくるのでその時繋がれば満足している。

      10度仰角をつければ2列の八木でも十分ではなかろうか?たぶん、K1FOとかクリエイトの八木よりも、マスプロとかF9FTの八木のほうがサイドローブがなだらかで追いかけやすい筈。

      IC-821Dなので30Wのアップリンクだが不足は感じていない。例えばAO-13などは25W(TR851D)じゃ足りない時がしばしばあったので、この点低い軌道の衛星は楽だ。

    2. スケルチの配線

      IC-821はスケルチが生きているので、配線しないともったいないような気がして最初モデム(96G)との間を配線した。ところが、衛星バンドにはアウトバンドの電話の局が多いので、ここ一番邪魔になって結局配線を外した。このためにDINソケット一個損した。普通のデータ通信の周波数帯ときは1200bpsの局を潰さないようにスケルチは必ず配線すべきであるが、これとてTNCやトランシーバの都合で駄目な時がある。スケルチを配線しない時の動作はTNCのマニュアルで確認のこと。スケルチ無配線のときTNCに開きっぱなしと勘違いされたら困るから。TNC-220の場合は、この論理値を、普通の正電圧/零とTNC2のようなハイインピーダンス/ローインピーダンスと内部ジャンパJP2で切り替えるようになっている。いずれにせよ、衛星バンドなのだから、電話の送信に遠慮することはないのでスケルチは配線していない。メイルの送信時以外の送信時間は実に短いので、これでも電話と共存できているのでは?たぶん電話側は気づいていないだろう。

    3. TCE-DTE速度は最大に

      TNCとパソコンの間の232Cの速度は最大にすべきである。衛星からの受信は散発的なのでそれをTNCに溜めないように、速くPCに引き上げるということは、Z80のCPUでは送信に余裕を持たせる意味で重要である。Z80といってもTNC-220は10Mhzでいいほうなので、そのまま19200bpsに設定して使えるのだが、試しに内部のチップ抵抗をJR2からJR3に付け直して38400bpsでPCと繋いでみた。

    4. 全二重だということ

      私はアナログ衛星の、特にCWのとき、自分の打っているのが聞こえると調子悪いので、モニタの音を絞っていたりする。反面、同じくアナログ衛星の電話の時、重なってしゃべらないともったいないというか、グランドウェーブの普通の交信とかわらんじゃないかないかと勝手に思うタイプである。Wのアナログ衛星使ったラグチューを聞いていると、その点自然に全二重で話しているのでびっくりする時がある。

      似て非なるのがCPU使ったソフトウェア処理の重たいモデムの全二重である。WispがTNCの初期化を終えたところで、「TNCは全二重に設定された」というようなメッセージを出すがこれで安心してはいけない。一つは(3)のDCE-DTEの速度が問題となり、もうひとつ、モデムの設定でミュートの機能がついていればこれは必ず切らねばならない。TNC-220は、普通のデータ通信(モノバンドFMトランシーバなどVCOがひとつだから)の用途のために、このミュート機能が初期値として設定されている。JP2のジャンパをオープンにしてこのミュートを行わなくする。

    これらは行わなくても普通にKO-23/25と出来るのだが一応対処してみた。今のところその成果は表れていない(^^ゞ

    悔しかったらDSP使えということだろう。


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