TU-872は、TU-873のように、再生産されたんでしょうか?入手できたのは、初代の中国球6SN7と、黒色塗装かつ巻き線部分にシールドのある出力トランス(EKジャパンのカタログ写真とコピーのとうり)でした。
ちなみに、TU-873の再生産品は、6SN7がソブテックで、トランスは巻き線部分にシールドがありません。
エレキットのトランスは、1個1万円以下のノグチかキタムラだとおもうのですが、キット全体のバランスからみて、どれも絶妙の選択をして、かつうまいことケースに収めています。
2A3シングルの3.5WにタンゴのFX-20だったかの1個2万円の出力トランスをおごっても、どれだけ良い音になるとおもいますか?
それよりも、ダイオード整流による電圧上昇を見込んでの、ヒータ巻き線を特注していることにこそ注目すべきです。
そもそも2A3は、交流点灯のためにヒータ電圧が2.5Vと低いのですが、それを直流にし、かつ上記のことを見込んでトランスを発注するというのは、かなりの思い込みの設計だとおもいます。
けっこうなメーカーでも、コストの面でダイオード整流に落としただけだと、ヒータ電圧が高くなり過ぎで、抵抗で落としているものが、かなり見受けます。
TU-897と正反対で、「これだけで2A3がドライブできる」ならば、それはそれですごいこと。
上記の写真では、6SN7をフィリップスのものに差し替えています。
2A3も300Bもアンプとしては変わりないのですが、300Bと同じ値段では売れないので、その差を作り出すために、例えば、上の写真でもわかりにくいですが、ソケット部分の化粧パネル(メッキ板と化粧ネジ)が付属していません。
考えようによっては、化粧パネルにより放熱が悪くなる分、300Bのキットのほうが不利とも言えます。
出力トランスや、電源の構成も同じなら、当然この2A3のほうが有利です。
300Bほど数が売れないので、ヒータ電圧の違う電源トランスを少数北村機電に注文するので苦労したとおもいます。とはいえ、出力トランスは定数が同じであれば、方式や素材で倍の値段が違っても、その差は、低域/高域にあるので、普通のスピーカや音楽ソースでは区別がつきませんが、電源トランスは、音の大小ではっきり解かるので北村機電に注文したのが正解であり、最近のエレキットの特徴だとおもいます。
後ろから見たところは、ほとんどかわりありません。
構成は、化粧パネルが無いのを除けばTU-873と、まったく同じです。