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TU-872(初代?)を手に入れました




<特記>
TU-873/872を組み立てたが、チリチリという残留ノイズが出てしまった人へ
「説明書を1字一句よく読んで」というのを忘れたか、ケース取り付けのネジの緩みです。
もう一回ばらして、シャーシにアースを落とすところは、
  1. シャーシ側
    塗装をちゃんと露出させて、もし手には入れば菊ワッシャ(歯付きワッシャ)を入れて、力いっぱい締め付けましょう。
  2. 基板側
    ハンダメッキをして、もし手には入れば菊ワッシャ(歯付きワッシャ)を入れて、じわっと締め付けましょう。

ほとんど基板でつながっているので、アースが確実に落ちていなくても、音が出てしまいますので、アースが不完全になっても、気がつくか、つかないか程度のノイズが出るだけなので、異常とおもわない人を見受けました。
また、移動などで、あっさりネジが緩んでくるので、上記のように菊ワッシャを入れることをお薦めします。

300BシングルであるTU-873と基板から共通の2A3シングルのTU-872ですが、一度聴いてみたかったので、手に入れました。下の写真で左のソブテックの赤いマークが見えるのがTU-872です。キットについてくるのは、プリントの無い曙光電子系?の中国球です。右が300BのTU-873です。

tu872-1
TU-872は、TU-873のように、再生産されたんでしょうか?入手できたのは、初代の中国球6SN7と、黒色塗装かつ巻き線部分にシールドのある出力トランス(EKジャパンのカタログ写真とコピーのとうり)でした。
ちなみに、TU-873の再生産品は、6SN7がソブテックで、トランスは巻き線部分にシールドがありません。
エレキットのトランスは、1個1万円以下のノグチかキタムラだとおもうのですが、キット全体のバランスからみて、どれも絶妙の選択をして、かつうまいことケースに収めています。
2A3シングルの3.5WにタンゴのFX-20だったかの1個2万円の出力トランスをおごっても、どれだけ良い音になるとおもいますか?
それよりも、ダイオード整流による電圧上昇を見込んでの、ヒータ巻き線を特注していることにこそ注目すべきです。
そもそも2A3は、交流点灯のためにヒータ電圧が2.5Vと低いのですが、それを直流にし、かつ上記のことを見込んでトランスを発注するというのは、かなりの思い込みの設計だとおもいます。
けっこうなメーカーでも、コストの面でダイオード整流に落としただけだと、ヒータ電圧が高くなり過ぎで、抵抗で落としているものが、かなり見受けます。


  1. 構成
  2. tu872-2
    TU-897と正反対で、「これだけで2A3がドライブできる」ならば、それはそれですごいこと。

  3. 前から見たところ
  4. tu872-2
    上記の写真では、6SN7をフィリップスのものに差し替えています。
    2A3も300Bもアンプとしては変わりないのですが、300Bと同じ値段では売れないので、その差を作り出すために、例えば、上の写真でもわかりにくいですが、ソケット部分の化粧パネル(メッキ板と化粧ネジ)が付属していません。
    考えようによっては、化粧パネルにより放熱が悪くなる分、300Bのキットのほうが不利とも言えます。
    出力トランスや、電源の構成も同じなら、当然この2A3のほうが有利です。
    300Bほど数が売れないので、ヒータ電圧の違う電源トランスを少数北村機電に注文するので苦労したとおもいます。とはいえ、出力トランスは定数が同じであれば、方式や素材で倍の値段が違っても、その差は、低域/高域にあるので、普通のスピーカや音楽ソースでは区別がつきませんが、電源トランスは、音の大小ではっきり解かるので北村機電に注文したのが正解であり、最近のエレキットの特徴だとおもいます。

  5. 後ろから見たところ
  6. tu872-3
    後ろから見たところは、ほとんどかわりありません。

  7. キットの内容物
  8. tu872-4
    構成は、化粧パネルが無いのを除けばTU-873と、まったく同じです。

    tu872-5


回路図はTU-873と定数が違うだけです。2A3としてもTU-897と逆で2A3そのものが酷使される(バイアス低め、プレート電圧高め)ようなところがあります。
TU-897との決定的な違いは、このTU-872が、直接ホーンツイータにつないでも残留ノイズがまったく聴こえないという、超ローノイズな点です。この点は、今の流行かもしれませんが、私はあまり重視していません。
逆にTU-897は、チョークインプットの電源を持ち、同じダイオード整流でも、シリコンくさい(シャリシャリしたところ)ところがありません。ほんのりハム音がして、ふわっと柔らかい音が舞い上がる2A3特有の楽しみを得たかったらTU-897がいいでしょう。
だからといって、半導体アンプと、数値面で比較できないとダメだとなると、この2A3が一番だとおもいます。

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