8 シドニー
8.1 一番高くて一番狭いホテル
ここのホテルは唯一日本を出る前に航空券と一緒に予約を入れておいたところである。オーストラリア旅行中は、仕事の期間を除いてホテルも決めずに行ったが、最後くらいはそこそこ名の通ったホテルにしようと最初から決めておいたのだ。
実をいうと、本当はもっと港の近くを所望していたのだが、あいにく満室だったり、宿泊費があまりにも高かったりで、ここキングスクロスにあるハイアットにしたのだ。キングスクロスというのは、シドニーでも一番の歓楽街で、名古屋なら錦三丁目、東京なら新宿歌舞伎町みたいなところといえば想像できるだろう。そして、有名なハーバーブリッジやオペラハウスからは少し離れている。
さて、29階の2912号室に入ってみると、なんと、ここが今までの旅行中の中で一番狭いではないか。ツインのベッドにエクストラベッドを一つ入れただけでもういっぱいだ。今まで泊まったところがベッドルーム二つあるのが普通だったので、何とも狭い印象を受けたのだ。がしかし、これでも日本のホテルに比べれば十分すぎるほど広いが。今晩泊まりのホテルは一番高くて一番狭いホテルとなったのだ。
さて、早めにチェックインしたのだから、部屋にいても仕方がない。また自分自身もシドニーの町は初めてなので、いろいろ見て回りたい。(以前に一度だけ飛行機の乗り継ぎで空港近くのヒルトンには泊まったことがあるが、夜遅く着いて朝早く出発したのでほとんど来たこと無いに等しい)
3時15分ホテルを出て地下鉄の駅に向かう。なんといってもシドニーではハーバーブリッジとオペラハウスを見ておかなければならない。駅はホテルからすぐのところにあり、迷わずに行けた。が地下鉄に乗ったことないのでなにも分からない。事前に下調べもしていないのでどうなることやら。
キングスクロス駅は、ホテルから歩いて2,3分のところの、通りの一角にある。地下に降り自動販売機で往復分の切符を買い、ホームに行った。切符はクレジットカード大で、磁気テープに、金額が記録されているものだ。
さてどこ行きの列車に乗ったらいいのかわからない。表示板を見てサーキュラーキーを探す。どうもよく分からないので、隣にいたおじさんに行き方を聞いた。行っていることがうまく理解できなかったが、どうも途中で乗り換えるらしい。乗り換えるところがタウンホールだということも分かった。
電車は2階建てになっているが、地下を走っている限り上下どちらに座っても関係ない。タウンホールまでは二駅なのですぐに到着する。ここで乗り換えしなければならないが、ホームがいくつもあり、また複数階に渡っているので、さっぱり分からない。ここでもやはり人に聞いて、やっと行き先が分かった。こういう場面では人に聞くのが一番速い。
タウンホールから二駅目がサーキュラーキーである。この駅は地下ではなく、高架になっている。駅を出るとそこは対岸まで行くフェリー乗り場になっている。見える見える。左手にハーバーブリッジ、右手にはオペラハウスが。
駅を出てまず右手に歩いていった。オペラハウスはかなり大きな建物で、近くに見えるが結構距離がある。ヨットの帆をイメージして作られたものとのことだが、やはりシドニーというか、オーストラリアを代表するだけの建物であるに違いない。誰が見てもこれはオーストラリアである。
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だけど、ここも現物を見てしまうと、「あー、こんなものか」といった感じだ。何度もオーストラリアへ来ている自分も、見るのは初めであるが、見てしまえばとりあえずポイントは押さえたという感じである。
反対側に目を向けると、ハーバーブリッジが見える。ここはかの昔、不況対策で作られたという話であるが、橋自体は古いものの、なかなかがっしりとした結構大きな橋である。
ここで写真を撮ろうというとになったが、オペラハウスは西に傾いた日の光で、黄金色に輝きだしているが、ハーバーブリッジの方は逆光になってしまうので、あまりよろしくない。
オペラハウスをバックに家族の写真を撮ったが、近すぎると全体が入らないので、かなり手前から撮った。
ハーバーブリッジを撮るにあたっては、手前を対岸とを結ぶフェリーがひっきりなしに横切るので、ちょっとしゃれた船が通っているところを一緒に入れた。
ちょっとこの旅行記からは外れてしまうが、後日仕事でオーストラリアに来たときも、乗り継ぎのためにシドニーに一泊だけしたが、その際夜のオペラハウスと、ハーバーブリッジを見に来て、きれいにライトアップされており、昼間とは違った夜の景観もいいではないかと、認識を新たにした。
オペラハウスからまた元来た道を戻り、フェリー乗り場を過ぎてオペラハウスとはフェリー乗り場を挟んだ反対側に来た。ここはロックスといい、その昔オーストラリア大陸を初めて発見したキャプテンクックが初上陸した地と言われている。そのころここは岩がごつごつ出ていたので、ロックスと呼ばれたとのことだ。いわばオーストラリア発祥の地という、オーストラリアでもっとも古い町である。とおりを歩いていると、どことなくヨーロッパの町並みに似ていないこともない。
ここは古くからの町並みを保存してあり、また免税店や土産物屋があったりして、かなり観光地化されているという感じだ。なんけんかの土産物屋に入ってみた。どこも日本人相手に、日本人がやっている店が多い。地球の歩き方に紹介されていた雑貨屋(日本の食材を扱っている)に入ってみた。おにぎりがあるとのことだったが、あいにく夕方近くではすべて売りきれとのことで、残念。今晩の食事にでもしようと思ったのに。
ここまでずっと歩き詰めだったので、上の娘がくたびれてしまい、また日がだいぶ傾いてきたので、ホテルに戻ることにした。
戻るときも行きと同様地下鉄を乗り継いで午後6時頃帰ってきた。
オーストラリア最後の夕食は、ホテルで摂ることにした。ホテルの案内では日本食レストランがあるのだが、あいにく改装中ということで休みだった。そのかわりロビーの一角で、寿司バーを開いていたので、ここで夕食を摂ることにした。にぎり寿司を4人前、一人前AU$25.-と一番高い食事となった。さらに、お茶を頼むと、これも有料とのことで、がっくり。ビールはここでは飲まず、後で部屋で飲むことにした。
寿司自体は大変おいしかったけど、これだけ高いと早々食べられるものではない。明日は早いので子供たちを風呂に入れて、早めに寝かせた。僕らはビールを買いにちょっと外に出てみようということで、キングスクロスの目抜き通りを歩くことにした。
先に書いたように、ここは新宿歌舞伎町のようなところで、夜は大変にぎやかである。レストラン、飲み屋、土産物屋、それにストリップ劇場と、夜の遊びには事欠かない。特に目的もあるわけではなく、ぶらっと土産物に入ってみたりして、通りを歩いた。オカミサンと二人で歩いているにもかかわらず、ストリップのお兄さんに声をかけられるのには閉口した。一緒に歩いているのがだれだか分からないのかねえ。
繁華街ということだが、特に危険という雰囲気もなく、いろんな人が行き交っている。一応ぐるっと一回りしてホテル近くまで戻ってきて、酒屋でビールを買い、ホテルの隣のビルの地下にあったスーパーでちょっとつまみを買ってホテルの部屋に戻った。
オーストラリア最後の夜は、高い夕食と、部屋でオカミサンと二人で飲んだビールの味が忘れられない。