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フィラデルフィア美術館は、米国の5大美術館の一つに数えられていますが、フィラ
デルフィアが日本人の観光地として余り有名ではないせいか、日本ではそれ程知られ
ていようです。
ちなみに、米国の5大美術館は、メトロポリタン美術館、ボストン美術館、ナショナ
ルギャラリー、シカゴ美術館とフィラデルフィア美術館と言われます。ここは、印象派
のコレクションがすばらしく、メトロポリタン美術館と比肩できるほど優れていると思い
ます。
今回の渡米では、フィラデルフィアに僅か1日しか滞在できなかったので、午前中は
市内観光、午後は美術館と考えていました。午前中の市内観光を終わって、Reading
Terminal Market内の食堂でフィラデルフィア・チーズステーキを食べました。それから
外へでて、目の前にあるシティーホール(City
Hall)を見たら、そのタワーに上りたくなり
タワー案内所にいってしまいました。
タワーに上るのは予約制で、案内所で次の時刻を聞いたところ、午後2時とのことで
約1時間の空き時間ができてしまいました。この間に郵便局へ行ったりして、午後2時
にタワーに上り、そこから下りたのが午後2時半頃になりました。
美術館に行こうとSEPTAのバス停で美術館に行く38番のバスを待っていましたが、
38番のバスが全然来ません。時間はどんどん過ぎていく!美術館は午後5時で終わっ
てしまう!15分以上も待ってから、遂にたまりかねてタクシーに乗って美術館へ。
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シティーホール近くのSEPTAバス停 |
バス停の右側にバスが見える |
タクシー代は7ドル程でしたから最初からタクシーに乗れば良かったと後悔しました。
車は美術館の裏、西入口に着きました。正面入口は、映画ロッキーの大階段で、その
前の道路は交通が激しく、車は止められないようです。そういえば、SEPTAのバス路線
図でも、38番のバスは西側入り口を廻るように書いてありました。
やっと美術館に着いたときには、もう午後3時を過ぎていて、僅か2時間弱しか見る
時間がない!
もっとも、米国の美術館は非常に広いので、すべての展示を見ようと思ったら1週間
くらい通わないと見られないと思います。
このため、いつも、見たいものだけを見ることにしていたので、今度もフィラデルフィア
美術館では印象派を中心に見ようと思っていました。そこで、印象派だけを見てきまし
た。しかし、本当に駆け足の鑑賞で心残りがしています。
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美術館の正面です。私が訪れたときはあいにく化粧直し中でした。2枚を合成したので、つなぎ目と空が不自然です。 |
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シティーホール・タワーから美術館を見た写真です。
中央のベンジャミン・フランクリン・パークウェイの突き当たりに美術館が見えます。 |
・ 印象派の絵画
フィラデルフィア美術館は印象派の宝庫 |
印象派の展示は、1階北側の展示室にあります。1階は、私たちの感覚では2階に相
当し、西側入口から1階へ上る階段を上がると、直ぐ左手が印象派の展示室です。
この北側の部屋に、ルノワール、モネ、セザンヌなどなどの絵がぎっしりと並んでいる
のを見ると圧倒されます。これらの数枚でも、日本の美術館で常設展示されていたら、
どれほど素晴らしいだろうかと思います。
僅か2時間はあっという間に過ぎてしまいました。それでもセザンヌの大水浴、
ビクトワール山、ゴッホのひまわり、ルノワールのルグラン婦人、
モネのポプラ並木、
ミレーと数え切れないほどの絵を見ることができました。
そうだ、ロートレックの舞踏会もシスレーのブージバルの春も見ました。たった2時間
でしたが素晴らしく充実した時間でした。
・ルノワールの部屋です。ルノワール大好きの人なら、一日中眺めていたい部屋でしょう。
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レース編みの少女の左側にはヌードがある |
水浴、レース編みの少女、ルノワール夫人が並んでいるコーナー |
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こちらのコーナーには大水浴、静物画など。 |
ここにも静物画が並んでいた。 |
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ルグラン嬢のポートレート |
ルノワールの大水浴 |
・モネのコーナーです。有名なポプラ並木など、この写真のように沢山展示してあります。
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The Grande
Creuse at Pont de Verry、松の木陰の夕暮れ |
ジベルニーのエプト川、アンティーベの朝、ポプラ並木 |
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ポプラ並木 |
Manne-Porte,
Etretat |
・種まきなどで、日本では非常に有名な「ミレー」の絵で、Bird's-Nesters・鳥の巣ハンター達とでも訳すのでしょうか、
このような絵もありました。美術館の解説書には、ミレーの少年の時の経験を描いたものだそうで、暗く特異な絵に
なっているので、あのミレーがと驚きました。
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シスレー・風景(ブージバルの春) |
ミレー・Bird's-Nesters(鳥の巣ハンター達) |
・この美術館の珠玉の作品の一つと言われているセザンヌの「大水浴」は、印象派の部屋の一番奥に展示して
ありました。ほぼ八角形の大きな部屋の奥に、別に仕切られた壁面に展示してありました。
下の写真のように展示されていますが、その手前、右側にはゴッホの「ひまわり」がありました。
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セザンヌの大水浴 |
サンビクトワールとセザンヌ夫人のポートレートが並んでいます |
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セザンヌが亡くなるまで描き続けたと言うサンビクトワール山、
セザンヌの絵の中では、私はこの絵が一番好きです。
山肌の岩の荒々しさと、裾野に広がる穏やかな風景が私の
心をうちます。 |
・超有名な「ひまわり」が、大水浴の手前にありました。このひまわりは、ゴッホがアルル時代に描いた作品の一つ
だそうです。美術館の解説書によると、アルル時代に描いた5枚のひまわりの一つだそうです。
全部で何枚書いたのかは、私が調べたインターネットの資料により少し違いがありました。
ひまわりは、その一枚が東郷青児博物館にあるので見た人も多いと思います。
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ゴッホの「雨」、ゴーギャン「聖なる山」、ゴッホの
「オーギュスティーヌ・ルーラン夫人と乳児マルセルのポートレート |
右は、ゴーギャン「Still
Life with Moss Roses in a Basket
(静物画・バスケットに入ったモスローズ)
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・クールベとロートレックの絵が展示されていました。
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クールベ「波」 |
ロートレック「ムーランルージュのダンス」 |
・展示されているのは、勿論印象派だけではありませんが、私は、ほかの絵画を見る時間の余裕が全くなく、
午後5時になり、追い出されるように美術館を去りました。
この写真のように、12世紀からの絵画をかいま見ただけでした。
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入口の向こうに小さく見えているのが、
Gerard Davidの「Lamentation」です。
右側の絵は、Master of the Saint
Bartholomew Alterの「The Descent from the
Cross」です。 |
・私が行ったとき、(2007年5月)には、正面は化粧直し中で、閉じていました。裏側の「西入口」から入ると、この写真
の様な案内デスク(West Information Desk)がありました。美術館の地図では、上の箇所です。ここのデスクに、館内
のマップなどが置いてありました。日本語も勿論ありましたが、韓国語と裏表に印刷されていました。大きなバッグ
などはクロークに預けるように言われます。
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西側入口の案内デスク・インフォメーション |
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美術館の部屋の配置図(この1階は階段を上がった2階のことです・案内パンフレットよりコピー) |
・フィラデルフィア美術館のポスターや案内には、下の写真がよく使われています。とても趣のある、素晴らしい
写真です。この写真は美術館の南側を川向こうから見たところで、手前に見えているギリシャ神殿風の建物
は、市の水道局(Water Works)です。背後の美術館とよくマッチして素晴らしい風景になっています。
水道施設とはとても思えないデザインで、フィラデルフィア市の建築設計者のセンスは素晴らしい。
Wikipediaによると、この建物は、1819年から1822年にかけて建設されたそうです。一方、美術館は1928年
に完成したと解説書に書いてありました。そうすると、ギリシャ神殿風の建物はWater
Worksの方が先輩にな
りますね。
水道施設としては1909年にその役目を終わり、その後水族館、プールなどに使われたそうですが、現在は、
レストラン(Water Works Restaurant and Lounge)として使われているということです。
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フィラデルフィア美術館南面の写真(フィラデルフィア美術館ハンドブックp2よりコピー) |
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美術館正面入口(東側入口)この左側がロッキーの階段 |
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美術館正面から、フィラデルフィア市中心部を見たところ。
正面の道の先に、白いシティーホール・タワーが小さく見える。 |
予定より大幅に短い時間でしたが、満足して美術館をあとにしました。
5時過ぎに、正面の大階段を下りて帰路につきましたが、最初の写真のように建物の正面は
補修中で、全体を足場で覆われていたため折角の景観が損なわれていたのは残念でした。
この写真にあるように、美術館の正面は大きな広場になっていて、非常にゆったりしている
美しいところでした。
なお、フィラデルフィア美術館展が7月から京都で、10月から東京で開かれるので、どの絵が
来るのか楽しみです。
・ここで紹介した絵画の解説書は美術館の地上階(Ground
Floor)にある「ミュージアムストアー」で販売されています。
Handbook of the Colletion(ハンドブック)と書いてあり、日本語版もあります。値段は、税込みで
$18.14 でした。
本は、上質紙を使って、厚さが約2.5cm、重さが約1.5kgもあり、ずっしりと重い、立派な本です。
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解説書の表紙 |
案内パンフレット・日本語・韓国語版の表紙と内容の一部 |
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