DX FAQ

このFAQは JE7MQB 佐藤氏が作られたものですが、佐藤氏がご自身でのホームページへの掲載を中止されたため、貴重な情報がネット上からなくなるのはあまりにも残念なためコンテンツを譲り受け公開しているものです。ここではJA0RUGによりメンテナンスされています。 JA0RUG記

2008年6月7日現在の内容です。

このFAQについて

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DXQSOと運用全般に関すること

Q:DX QSOとは何ですか?
A:遠くの局と交信することを指しています。英語で距離のことをDistance(ディスタンス)といいますが、これの省略形がDXの由縁といわれています。一般に交信相手は海外局を対象としたものが多く、一般には電離層反射を利用しています。珍しいケースとしてアマチュア衛星通信、月面反射通信や流星反射通信があります。

Q:DX QSOを始めたいと思います。どのバンドに出ればいいですか?
A:ハイバンドが適当です。太陽黒点数が多く、コンディションが良い時期では28MHz、21MHzを中心に14MHzに出れば良いでしょう。太陽黒点数が少なくコンディションが悪い時期では14MHzを中心に、21MHzや28MHzに出れば良いでしょう。1つのバンドだけに出るのはDX局との交信の機会が減るためお勧めしません。DX QSOに慣れたらローバンドにも挑戦すれば良いと思います。

Q:日本の他の局が交信しているDX局が聞こえません。どうしたのでしょうか?
A:いろいろな理由が考えられますが、主として以下の理由ではないでしょうか。
1 DX局がスプリットで運用している。
2 ビームアンテナ使用局では、アンテナの方向がDX局(の信号が聞こえてくる方向)に向いていない。(例えば、アンテナは北米を向いているが、DX局は東アフリカの局だった。DX局のショートパス方向にアンテナを向けていたが、DX局はロングパスで入感していたなど。)
3 東日本と西日本では聞こえ方に地域差があった。(基本的に東日本では北米が長時間よく聞こえ、西日本ではヨーロッパ、アフリカが長時間よく聞こえる。)
4 DX局の信号が非常に弱く気づかなかった。
5 自宅または近所の電化製品からノイズが出ていて、信号が聞こえづらかった。
など。

Q:GMTとUTCはどう違うのですか?
A:以前世界標準時は、GMTが使用されていました。イギリスロンドン郊外のグリニッジ天文台を通る子午線を0度としていましたが、計時方法に誤差がありました。現在は、天体の動きから算出するセシウム時計を利用した原子時計を採用し、1年を365日5時間48分45.264秒として計算し、この計時方法を世界協定時UTCとして広く使用しています。この2つは区別され、UTCが一般的です。なお、日本はUTCから9時間進んでいます。

Q:時刻の後にZ(ズールー)をつけるのはなぜですか?
A:世界には経度を15度ずつに区切った24のタイムゾーンがあります。UTCが存するタイムゾーンは、たまたまZなので「05:30Z」などのように使われます。ちなみに日本のタイムゾーンはI(インディア)ですが、使われるのはZだけのようです。

Q:電波伝搬のコンディションはどうして一定でないのですか?
A:コンディションは、11年サイクルの太陽活動による電離層の状態や、1年サイクルの季節変化による電離層の状態や、1日サイクル(日中夜間)の電離層の状態が重なり合って常時複雑に変化しています。さらに、磁気嵐、地磁気などによる電離層擾乱やカリカリ音(スタティックノイズ)による受信障害が加わります。こうして、電波伝搬のコンディションは一定でありえないのです。

Q:英語が話せないとDXQSOは無理ですか?
A:地球上で最も多い人種は中国系人種ですが、世界共通語として使用されるのは英語です。電話形式でDXQSOを楽しむには、ある程度の英語の知識が必要ですが、決まり文句を覚えるような方法で充分対応できます。また、これが困難なときは、CWやRTTYなどのデジタルモードであればQSOは間接的になるので安心感は倍増するでしょう。すなわち、ペラペラの英語が話せなくともDXQSOは可能です。

Q:リストQSOとは何ですか?
A:あるDX局とQSOしようとする際に、他の誰かが主導局になって、そのDX局とQSOしたい局を募ってリストを作成し、リストに従い順序よくQSOさせる交信方法です。毎日周波数と時間を決めて主導局が出てきて、参加DX局を募りリストQSO を実施する場合も多いです。

Q:スプリットQSOとは何ですか?
A:パイルアップ時に、送受信とも同一の周波数でQSOしようとすると、双方の受信障害になります。これを避けるために送受信の周波数をずらしてQSOする方法です。多くのDXペディションでは、この方法が採用され多くのQSO実績を上げています。激しいパイルアップでは、相手に広い範囲で呼ばせてパイルアップを拡散させ、明瞭な受信により効率のよいQSOを実現します。数kHz上で呼ばせることが一般的ですが、たまに下の周波数で呼ばせることもあります。この技法取得は、DXerには必須項目です。

Q:スペイン本土(EA)は良く聞くのですが、EA6やEA8、EA9は聞いたことはありません。本当に出ているのでしょうか?
A:スペイン本土(EA)の局は多くの局が出ているのでしばしば聞きますが、EA6やEA8、EA9局は熱心に運用する方は多いものの運用している局数が少ないため聞く頻度は少ないようです。積極的に探すようにしないと聞くことはなかなか困難のようです。

Q:DX QSOの参考になるページはありませんか?
A:ON4WWが公開しているオペレーティングマニュアルが参考になります。

Q:オンフレとは何ですか?
A:送信と受信を同一の周波数で行う通常のQSO形式のことです。On the Frequencyからきたものです。他に、Simplex(シンプレックス)とも言います。(対義語→スプリットQSO)

Q:ビーコンとは何ですか?
A:電波伝搬の指標とするため、14MHzから50MHzまでの各周波数帯で標識電波を発信するシステムです。ビーコンは、コンディションの良否にかかわらず常時電波が発射されており、ビーコンが良好に受信できるときは、その周波数帯でそのビーコンのある地域とQSOが可能であることを知ることができます。プロの通信では安定した通信が確保されない状況を想定していませんが、アマチュアの通信では突発的にオープンするコンディションを有効に利用してDXQSOを楽しんでいます。公設私設とも28MHz帯と50MHz帯のビーコンが特に充実しています。

Q:世界中のビーコンの運用周波数のリストはありますか?
A:HFでは G3USF's Worldwide List of HF Beacons に、50MHzでは G3USF's Worldwide List of 50 mHz Beacons に運用局/運用周波数が掲載されています。

Q:IBPビーコンとは何ですか?
A:NCDXF/IARUによる IBP(International Beacon Project)ビーコンは公設ビーコンの代表的なものです。詳細は NCDXFInternational Beacon Projectのページ または、JARLIBPビーコン局の活用方法のページをご覧下さい。

Q:ショートパスとは何ですか?
A:電波が送信局から受信局に到達する最も短い伝搬経路のことです。DX局の信号は普通この経路を通って伝わってきます。反対に地球を半周以上回って到達する伝搬経路をロングパスと言います。

Q:ローバンドでのロングパスはどのようなものですか?
A:ロングパスは、ショートパスより遠いルートを通るパスを指しており、ローバンドの場合はグレーラインと呼ばれる日中と夜間の境目のところが伝搬良好となります。朝のロングパスは、西方面から南米が入感したり、南西方向からカリブ海が入感したりします。夕方のロングパスでは、南東方向から西アフリカやヨーロッパが入感したりします。また、夕方のカリブ海や南米北部は、初めにニュージーランド方向から入感し、時間の経過とともに東方向から入感し、最後はショートパスに変わるというおもしろいロングパスが経験できます。

Q:ロングパスとショートパスが同時に入感するとき、どちらを選ぶべきですか?
A:コンディションが上昇すると、ハイバンドではロングパスとショートパスが同時に入感することがあります。特に朝や夕方に多く、エコーを伴ってふわふわと聞こえるため、了解度が悪くなることがあります。一般的にショートパスの方が聞きやすくなりますが、地域・季節によってはロングパスの方が良好なことがあります。エコーを避けるために相手局の信号は弱くなりますが、あえてショートパスでも、ロングパスでもない方向にアンテナを向けることも有効です。

Q:QRPとは何ですか?
A:送信機からの送信電力が5W以下の設備でQSOすることを指します。例えばコールサインはJE7MQB/QRPとして、5W以下であることを主張してQSOします。QRPのアワードも用意されていて、最小の送信電力(弱い電波)でDX局と交信する楽しみ方の一つです。パイルアップの最中にQSOしようとすることは困難で、忍耐とテクニックが要求されます。

資格及び局免に関すること

Q:DXQSOをするのに上級の資格と高出力が必要ですか?
A:単に海外の局とQSOするだけなら、伝搬状態と周波数を選べば第4級アマチュア無線技士の資格でも可能です。しかし、DXを楽しんでいるうちにDXCCアワードの魅力を知ると、14MHz帯や10MHz帯などすべての周波数でQRVしたくなるし、パイルアップに負けないよう高出力の送信設備の必要性を感じるようになります。従って、最低限として第2級アマチュア無線技士の資格と200Wの出力がきっと欲しくなるでしょう。将来的には第1級アマチュア無線技士の資格取得と、500W以上の無線局を開設することをお奨めします。

Q:資格を持つ友人が遊びに来た際に、私の無線局でDXQSOをしましたがやってはいけないことですか?
A:いわゆるゲストオペは合法です。ただし条件があり、次のとおりです。ゲストは、自局の無線従事資格の範囲内で、かつ、訪問先のアマチュア局の免許の範囲内で運用すること。必ず訪問先の免許人の立ち会いのもとで運用すること。ゲストが使用するコールサインは、訪問先の局のコールサインであること。

送受信設備全般に関すること

Q:TVIやRFIなどインターフェアが止まりません。考えられる原因と対策を教えてください。
A:送信側の原因としては本来の送信周波数以外のTV周波数帯の電波等を送信してしまっていることが考えられます。対策としてはまずローパスフィルタ、コモンモードフィルタ、電源フィルタ等の設置をします。受信側の原因としては本来動作させるよう設計された周波数以外の電波を受信してしまう。外来の電波に対して何の対策も施されていないことが考えられます。受信側対策としては(受信側対策こそ対策の本番です)本来受信するはずのないアマチュア無線の電波を受信しないようにすることです。DXerのページにはインターフェアー対策が記されたページが多いですから、それを参考にまず知識を得ることです。

Q:トランシーバーにグレードがありますが、低価格のものはDXQSOに支障がありますか?
A:受信性能ではハイバンドでは高価格機と低価格機に差はありますが、低価格なものでも当然ながらDX QSOに使えるレベルは満たしています。低価格機でのDX QSOに支障はありません。ローバンドでは高価格機と低価格機の受信性能の差は大きいですから、DX QSOに支障はあると思われます。送信機能についても余裕と安定度が違うようです。ただし高価格機だから無条件に良い、低価格機であるから使えないわけでもなく、トランシーバーの購入の際には可能であれば試用させてもらい自分の耳で確かめるのがいいと思います。

Q:ベアフットとは何ですか?
A:Bare footのことで、直訳は「裸足」のことです。トランシーバー本体のみで送信することを指し、50wや100wなど空中線電力の値を特定した表現ではありません。蛇足ですが、リニアアンプを付けてハイパワー化することを「下駄を履かせる」などと表現しています。

アンテナ設備に関すること

Q:DX QSOにはどのようなアンテナが必要ですか?
A:ハイバンドではタワー上に乗った八木アンテナやキュビカルクワッドアンテナなどのビームアンテナがあった方が有利ですが、ビームアンテナでなくても自分の環境に合ったアンテナを工夫すれば十分です。

Q:ビームアンテナはDXにどのくらい効果的ですか?
A:500Wのダイポールアンテナと100Wの3エレメント八木アンテナから発射された電波は、ある一点での受信利得が同等といわれています。したがって、打ち上げ角を考慮しなければ、DX局に対して強い電波を届けるには八木アンテナなどのビームアンテナがとても有効です。ただしローバンドでは、波長が長いためアンテナサイズが大きくなるのでビームアンテナを建設できる局は少数です。

Q:敷地が狭いのですが、DXによく飛ぶローバンドのアンテナはありますか?
A:タワーが建っているなら、タワーを利用します。タワーを直接ドライブする方法や、1/4スローパー型、タワーを支柱にした逆Vダイポール型が良いでしょう。高価な3.8/3.5MHz用のロータリーダイポールアンテナ(水平系)が市販されていますが、高さが30m以上とれないところではDXに対しての飛びはあまり期待できません。

Q:ローバンドの短縮GPを建設しましたが、よく飛ぶ方法はありませんか?
A:3.5/3.8MHz用短縮型GPが市販されていますが、可能ならばラジアル不要の接地型にしましょう。アース工事と高耐圧コンデンサによるインピーダンスマッチングが必要ですが、TVIが少なく飛びも良好です。また、GPは一般にダイポールより受信面で劣ります。

Q:ローバンドを始めたいのですが、水平系アンテナと垂直系アンテナの使い分けを教えてください。
水平系は、アンテナの開口面積が広く8の字指向性があるため、受信感度が比較的良好です。ただし、ローバンドでは地面からの高さがとれないと遠距離への飛びが特に悪く、冴えが無いものとなります。一方、垂直系は混信雑音が多く、弱い電波の受信面でやや劣りますが、送信については一様に飛ばせるという利点があります。したがって、近距離の地域には水平系を選択し、遠距離の地域には垂直系(受信時のみ水平系)が経験的に良いと考えられます。

Q:出力を1000Wにしたいのですが、同軸ケーブルは何を選べば良いですか?
A:50オーム系であれば、内部の線がしっかりとしたフジクラ電線などの8D2V以上をお奨めします。ただし、太いほど柔軟性に欠けるので8D2Vか10D2Vが良いと思われます。ローバンドで使う場合は同軸ケーブルの耐電力は大きくなりますから5D2Vでも使用可能ですが、余裕を持つため8D2V以上をお勧めします。

Q:RTTYを始めてみようと思っていますが、どんなアンテナが必要ですか?
A:多くの局は14MHzと21MHzにQRVしてくるので、これらの周波数を含んだアンテナが必須です。また、送信中はアンテナのバルンやトラップコイルに大きな負荷(フルパワーで連続送信)がかかるので、反射電力が小さく耐電力の大きいものを選択しましょう。

周波数とモードに関すること

Q:DXにおけるローバンドとハイバンドとはどのようなものですか?
A:一般に10.1MHz帯と14MHz帯との間で分け、ローバンドを10.1MHz帯、7MHz帯、3.5MHz帯、1.9MHz帯とし、ハイバンドを14MHz帯、18MHz帯、21MHz帯、24.9MHz帯、28MHz帯としているようです。

Q:DX QSOをするためには電話と電信(CW)のどちらをやればいいですか?
A:電話と電信で片方だけ特別やりたいのであればやりたい方を。でなければ、どちらもやることをお勧めします。そのことでDX局との交信の可能性が広がります。なお、ローパワーでも交信が可能なのは電信の方で、より多くのDX局が運用しているのは電話の方です。

Q:バンドと周波数は同じですか?
A:バンド表記はアメリカで好んで使われており「80mバンド」のように周波数帯全体を広義に指しています。80mバンドを3.5MHz帯と呼んでも同じことです。一方周波数表記は、「3.505MHzでQSOした」などのように狭義の意味で、使用する周波数そのものを指して使われます。したがって、使われ方が違いますが中身は同じです。

Q:WARC BANDとは何ですか?
1979年のWARC(World Administrative Radio Conference)で決議されアマチュアに開放された 10MHz帯、18MHz帯、24MHz帯のことです。日本では10MHz帯は1982年4月に、18MHz帯、24MHz帯は1989年7月より開放されました。なお、WARC は現在 WRC(World Radio Conference)と呼ばれています。

Q:PSK31とは何ですか?
A:RTTYモードの一種です。通信速度はゆっくりですが、占有周波数帯幅がとても狭く、数Wの小電力でも了解度が高いので人気のモードとなりつつあります。パソコンのCPUパワーを必要としますが、サウンドボード(サウンドカード)を利用したハードとフリーウェアで提供されるソフトウェアだけで実現するので手軽にQRVできます。最近のDXペディションでは、今までのボドーをやめてPSK31のみでQRVする例もあります。

Q:どのようなRTTYソフトウェアがありますか?
A:PCのサウンドカードを使うソフトは、RITTY(作者K6STI)などDOS版のものが 有名ですが、Windows版のものではTrueTTY(作者UA9OSV)はいかがでしょうか。 PSK31にも対応しています。最近ではフリーソフトウェアのMMITTYが人気です。 (by JH7IMX)

Q:どの季節にはどの周波数でどの時間にどの方向からどこの地域のDX局が入感するのか簡単に知る方法はありますか?
A:CQ誌などに記載されている伝搬予報が参考になります。実際の交信可能時間はそこに書かれている時間より長い傾向があるようです。また、数年前までの同時期の自分の交信記録や雑誌に記載されている交信記録をもとに、入感地域を知ることができます。パケットクラスターの情報を記録して時間と入感地域の関係を調べるのも有効です。また、各バンドではビーコンが発射されていますのでそれを聞きデータを取ってみることも有効です。ローカルにはDXのベテランがいると思います。そういう局に声をかけ教えを受けるのもさまざまな面で有効だと思います。

Q:DX局からの信号の入感状況を予想するソフトはありませんか?
A:仕事で使う以外であれば無料で使える W6ELProp というソフトがあります。ダウンロードや動作条件等はこのページでお調べ下さい。

Q:1.9MHzと3.5MHzでQRVしたばかりですが、QSO困難なCQゾーンか地域を教えてください。
A:日本からはカリブ海地域が交信しにくいところです。カリブ海地域は常駐局が少ないためにますます交信を困難にしています。しかし、カリブ海地域でも中米に近い地域(KP4、HI、VP5など)や南米に近い地域(P4、9Yなど)での交信は比較的楽です。また、CQゾーンではゾーン2とゾーン34とゾーン40も難しいところです。ゾーン2や40は極地に近く、パス的に困難なうえローバンドでQRVする局が少ないのがその理由です。ゾーン34は、パス的には問題ありませんがQRVする局数が少ないことが困難なゾーンにしているようです。1.9MHz、3.5MHzでは太陽の活動が活発になるとDX局の信号強度、入感頻度、入感時間が短くなります。

海外アワードに関すること

Q:DXCCとは何ですか?。また、エンティティとは何ですか?
A:アメリカ合衆国のアマチュア無線連盟ARRLが策定した、海外QSOのためのアワードルールです。通常のアワードと違ってある100エンティティ以上のQSLを所持する者を会員とした会員制クラブのような形式をとっています。エンティティとは、地球上の国や地域を一定のルールに従って分割したもので現在は335に分けてあります。一つでも多くのエンティティとQSOしQSLをゲットしDXCCデスクに承認された者が優位になります。多くのDXerはこのアワードのために日夜奮起してDX局を追いかけており、全エンティティ達成までに数十年を要することもあります。モードや周波数による特記が認められています。詳細は、http://www.arrl.org/awards/dxcc/を参照のこと。

Q:DXCC申請をしたいのですが、DXCCデスクにQSLカードを送付しないで済む方法がありますか?
A:DXCC申請書とQSLカードを、毎年8月に行われるハムフェア会場に持って行くと、ARRL職員の方または代行のJARL職員の方にQSLカードをチェックしてもらえるサービスが毎年企画されています。チェックが終わるとその場でカードは返してもらえます。申請料は別にしてサービス自体は無料です。私は2年前この方法で申請したところ、2ヶ月弱でARRLから証書が送られて来ました。(by JA2WBE)

Q:WACとは何ですか?
A:WAC(Worked All Continents)とはIARU発行のアワードで、世界の6大陸(アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア)のアマチュア局と交信しQSLカードを得ることにより得られるアワードです。JARL会員はJARLへ申請することにより発行されます。周波数帯や電波形式による特記も受けられます。DXに入門した人がまず目標にするアワードですが、ベテランでも160mバンドや6mバンドでこのアワードを得るにはなかなか困難でもあります。

Q:WAZとは何ですか?
A:Worked All Zoneの頭文字をとったもので、アメリカのCQ誌が発行するアワードです。世界を40のゾーンに分け、そのすべてとQSOした局に申請によって与えられるアワードです。80m-CWだけとか10m-SSBだけといった特記で楽しむことが多いようです。詳細なルールは、http://www.cq-amateur-radio.com/wazrules.htmlを参照のこと。

Q:IOTAとは何ですか?
A:IOTAは、アイオタと読みます。Island on the Airの頭文字で、RSGB (イギリスのアマチュア無線連盟)が発行するアワードで、RSGBのIOTA委員会が定めた世界100島以上のアマチュア局と交信してQSLを得ることにより得られます。各島にはIOTA NUMBERが割り当てられており、AS-001ならアジアの1番目の島という意味になります。まだまだ運用実績のない島があり、その数は未知数です。電話では14.260MHzや21.260MHz付近が、電信では14.040MHzや21.040付近が推奨周波数で、IOTA Peditionとして行われる運用では通常のDX Peditionの運用周波数でなく、この周波数を聞く必要があります。このアワードの愛好者はこの周波数付近で一年を通してサービスをしています。 詳細は、http://www.rsgbiota.org/http://www.g3kma.dsl.pipex.com/を参照のこと。

DXペディションに関すること

Q:DXペディションとは何ですか?
A:DX peditionとは、ハム局の少ない国や地域、あるいはハムのまったく運用していない国・地域に移動して運用する事をいいます。(DX QSOのための expeditionなのでDX peditionと呼ばれる。この言葉はハムによる造語。)

Q:DXペディションにかかる費用は、どこから出ているのですか?
A:運用者の自費によるものがほとんどです。無線機メーカーからの機材助成や無線同好会からの援助金がある場合もありますが、要求度の高いエンティティへのDXペディションに限られているのが現状です。また、ドネーション(寄付金)を世界のDXerに呼びかけて任意に募金することもあります。

Q:DXペディション局はバンドのどこに出てくるのですか?
A:ローバンドの電信では3.505や7.005のことが多いです、ハイバンドの電信では14.025 21.025 28.025が多いです。ハイバンドの電話では14.195 21.295 28.495が多いです。しかしこれは確定したルールがあるわけではありません。最近の大がかりなDXペディションでは事前に運用周波数が公表されることが多くあります。

エンティティの詳細に関すること

Q:珍エンティティはどうして、なかなかQRVが無いのですか?
A:厳重な環境保護下の島々や、人を寄せ付けない絶海の孤島など上陸条件や気象条件の厳しいエンティティは、一般にQRVはまれです。また、政治的理由でにアマチュア無線の免許が許可されない国があることもその理由の一つです。

Q:ブーベ島(3Y)からのQRVが非常に少ない理由は何ですか?
A:この島はノルウェー領ですが、南極に近いところにあります。南極の近くを通るジェット気流の影響が大きく、常に吹き荒れる寒波や強風など気象条件は極めて厳しいものがあり人を容易に近づけません。このため、運用するのに必要な極地方でも運行可能な上陸用のヘリコプターと、それが離着陸可能な大型船をチャーターすることが必須条件で、ゆえに多額の費用がかかるためにQRVの門戸を閉ざしているのです。さらに、船に乗る期間を含めペディション全体が長期間になるため運用が可能な人が少ないのです。前回の運用は1990年の3Y5Xで10年が経っていましたが、2001年1月から2月にかけてN4BQWが調査目的で上陸し3Y0CとしてQRVしました。その後の見通しは立っていません。

Q:マルペロ島(HK0TU)からのQRVが非常に少ない理由は何ですか?
A:この島はコロンビア領の離れ島で、その容姿は巨大な岩が海中から突出しているように見えます。全体に岩肌が露出しており、植物で覆われているところは見あたりません。島の周囲は切り立った崖で、容易に上陸できるところは1カ所しか無いようです。そこは、日本から見て島の裏側になりハイバンドでの運用ではQSOは期待できません。2001年のペディでは山頂まで登山してのQRVで、7MHzから21MHzまで良好に入感し多くのJAがゲットしました。また、ローバンド(3.5MHz)やハイバンド(24.9MHzや28MHz)は弱いながらもJAからのQSO実績がありました。時々散発的にあるペディ以外の過去のQRVでは、特別にコロンビア軍艦に同乗した単身者が、ヘリコプターで山頂に上陸させてもらい数日間だけQRVするというケースが多いようです。ここも、QRVの条件が厳しいため珍エンティティの一つです。

Q:セントピーター&ポールロックス(PY0S)とQSOしにくい理由は何ですか?
A:この島は、ブラジル領の離れ島で小さな岩礁がいくつも連なったような島です。ハイバンドでは、北米・ヨーロッパ・日本に対しての電波伝搬的には条件のよいところです。しかし、運用場所が岩礁のため面積が小さく、ビームアンテナを上げにくいこと、多数の人が行って同時運用しにくいこと、お金を出して行こうとする人が少ないことで運用自体が少ないのです。過去の運用では海のそばでの運用のため発電機のトラブルで運用が途中で中止になったことが多くあり交信しにくい理由の一つです。また、10/14/18/21MHzではQSOできるのですが、28MHzやローバンドでの交信実績は極めて少ないようです。地理的に夜が重ならなくてNGなのかも知れません。

Q:北朝鮮(P5)からのQRVが非常に少ない理由は何ですか?
A:一言でいえば政治的要因です。国民主権より軍事政権が勝っている場合に多く見られます。無線は軍事的機密を守る上でのポイントとして、通信に対して閉鎖的な背景があるためです。過去にOH2BHによるQRVがありましたが、短時間であったためQSOしたのは少数にとどまっていました。しかし、2001年冬から2002年夏にかけてP5/4L4FNが精力的にQRVし、SSBモードのみがDXCCにOKになっています。

Q:アンダマン島(VU4)やラッカディブ島(VU7)からのQRVが非常に少ない理由は何ですか?
A:ここはインドのホテルが建ち並ぶ別天地だそうです。観光には閉鎖的ではありませんが、アマチュア無線に関しては外国人がQRVした実績はありません。また、過去のQRVを分析するとインドのアマチュア無線連盟しかQRVしておらず、またその時の筆頭格はいずれも政府高官に対して実力のある関係者であるようです。そういう意味から推測するに、これらの島はインド政府関係者のオアシスになっていて、一般人を排除する傾向があるのかも知れません。(あくまでも推測です。)

Q:双方が夜にならないために3.5MHz帯や1.9MHzで絶対にQSOできないエンティティがありますか?
A:1年を通じてみればありませんが、南極方面で常駐局がいないところはDXペディションでの運用が気象条件のよい現地の夏(日本の冬)になってしまうために、夜が重ならないため交信しにくいところはあります。

QSLカード及び請求に関すること

Q:海外の局とQSOしたのですが、QSL請求はどのようにすればよいのですか?
A:まず、QSOした局にQSLマネージャーがいるかいないかを調べます。QSLマネージャーがいればQSLマネージャー宛てにダイレクトメールまたはJARL経由で送ります。QSLマネージャーを調べるにはIK3QAR QSL Manager lookupが便利です。QSLマネージャーがいなければhttp://www.qrz.com/などで調べて直接本人にダイレクトメールを書いて請求するか、JARL宛てに送ります。

Q:QSLマネージャーとは何ですか?
A:QSLカード発行を自主的にまたは依頼により代行する者のことです。費用はマネージャーの自費の場合が多いようです。特に後進国での運用に対してQSLマネージャーが設定されることが多く、QSLの発行を先進国のマネージャーにすることで入手の信頼性と容易性を高めています。大ペディションのQSLマネージャーは大変な苦労がありますので、QSLカード請求の際は、充分な返信料と感謝の言葉を同封するのがマナーです。ビューロー(JARL)経由でもカードを送ってくれるマネージャーもいますが、多くはビューロー経由を嫌います。

Q:ダイレクトメールでQSLを請求するにはどうすればよいのですか?
航空便や船便といった郵便で直接マネージャーに請求します。封筒の中には、DX局との交信データを書いた自分のQSLカード、自分の宛名を書いた封筒、IRC(国際返信切手券)やグリーンスタンプなどの返信料、それに労いの言葉や請求理由などを簡潔に書いたメモを入れます。これをSASE(サセ)といいます。一般的には航空便を利用するので、相手に届くまでに1週間---QSLマネージャーのQSL発送処理に数日から数ヶ月---自分に届くまでに1週間ほどかかります。早ければ2週間で、遅くても1年以内には届きます。

Q:相手局からQSLはqrz.comへと言われるのですが?
A:QSLカードはダイレクト( or SASE)で交換しようということです。その際、住所はqrz.com(http://www.qrz.com/)で調べればわかりますという意味です。

Q:JARL経由で海外のDXerにQSLカードを送れますか?
A:もちろんQSLビューローが存在する国には送れます。QSLマネージャーがいない場合は、JARL転送枠に相手局のコールサインを書いてJARL宛てに送ります。QSLマネージャーがいる場合は、QSLカードのJARL転送枠には「via OH2BU」のようにマネージャーのコールサインを書き、To Radio欄には実際にQSOした局のコールサインを書いてJARL宛てに送ります。しかし、相手国にQSLビューローが存在しても、全く機能していなかったり1年に1度くらいしか業務をしていないところもあることを承知しておくことが大切です。また、ビューロー経由の場合は、受領まで半年から数年もの長い月日を要し、長いもので10年くらいかかります。平均して2年から5年といったところです。また、日本国内と違い、相手局からQSLが発行されないこともしばしばです。ですから早期に確実にQSLが欲しいエンティティの場合は、ダイレクトメールで請求するのが定石です。また、無人島などエンティティによってはビューローが初めから無いところもありますから注意が必要です。

Q:IRC(国際返信切手券)はどのようなものですか?
A:International Reply Couponの略で、日本の郵便局で購入する場合は、1枚あたり150円です。万国郵便連合の加盟国間で10グラムまでの航空便の送料に換えることができることになっていますが、現実にはこれが出来ない国もあるようです。これを返信料として同封する場合は、2枚(300円)が理想です。グリーンスタンプに比較して高上がりになります。

Q:グリーンスタンプとは何ですか?
A:US1ドル紙幣を指しており、ダイレクトメールの返信料として使用します。大手の銀行などで容易に購入できます。しかし、1ドル紙幣だけを50枚や100枚単位で欲しがることになるので、銀行員に不思議がられます。普通航空便の郵便物には現金は同封できないことになっています。しかし、DXerの間では準IRCとみなして、二つに折った返信用封筒の間に挟んで同封することが行われています。(自己責任でやってください。)

Q:USAやヨーロッパの国々からの返信料を切手にする場合、いくらの切手を同封すれば足りるのですか?
A:USAからの返信料は、現在80セントです。カード2枚ほどなら1ドル(1グリーンスタンプ)でまにあうでしょう。ヨーロッパ諸国については、どなたかご存じの方、教えてくださいませ。(^_^;)

Q:海外での郵便事故(紛失盗難)はよくあるのですか?。それを減らす方法はありますか?
A:中近東、ロシア、中南米やアフリカなど後進国で頻度が高いようです。現地の郵便局員などによる盗難が多いと考えられており、封筒の中に外貨(1ドル紙幣)や有価証券(IRC)が入っていることを犯人が知っているために起こると考えられています。後進国では外貨は1ドル紙幣でも大変高価で、生活費の数割を占めるような貨幣価値の国もあるようです。紛失盗難を減らすには、中身が透けて見えない茶封筒などで目立たない封筒を使用すること、色鮮やかな切手を貼らないように郵便局で固くお願いして発送すること、私書箱があるマネージャーには自宅よりも私書箱に送ること、封筒には双方のアマチュア無線のコールサインを絶対に書かないことなどが予防策です。ヨーロッパやUSAなどの先進国では、こうした心配はほとんど要りません。

Q:Electronic QSL(eQSL)とは何ですか?
A:ARRL理事会が採用を検討している新QSL認証方式です。従来のQSLカードと違い、交信した相手から電子メールなどにより交信を証明する文書(eQSL)をもらいDXCC申請時にそれをARRLに提出して認証してもらう方式のことで、いわば電子QSL制度です。例えば大規模なDXペディションの場合、コンピュータで作られた電子ログ(Electronic LOG)をARRLに提出しておき、交信した者はそのときの交信について電子メールでeQSLを請求し、電子メールでeQSLを受領し保存しておきます。DXCCを申請する者は、申請書にeQSLを添付すると、ARRLのDXCCデスクは、ARRLあらかじめ提出されたDXペディションの電子LOGと申請されたeQSLを照合して、その交信を認証するという具合です。インターネット時代のQSL(交信認証手段)として注目されていますが、eQSLの実体はGIF形式の画像ファイルであるため偽造が懸念され、まだ承認されていません。

その他いずれにも属さないことがら

Q:どのようなDX専用ログソフトがありますか?
A:Windowsパソコンなら、DX4WIN(英語)、Logger32(英語)などがあります。

Q:どのようなDX専門情報誌がありますか?
A:日本語では月刊ファイブナイン、英語ではアメリカのCQ誌があります。他にもあったら誰か教えてください。

Q:DX関連情報を手に入れるにはどうすればいいですか?
A:日本語であれば DX Super Index、英語であればNG3K Amateur Radio Contest/DX Pageや、AC6V's Amateur Radio and DX Reference Guideがいいようです。

Q:DX局の運用情報はどのようにして手に入れることができますか?
A:Web上で見られるもので著名なものとしては Announced DX Operation425DX NewsDX News LetterARRL DX Newsがあります。日本語では JA7SSB 齋藤氏による The Hamradioのページがあります。

Q:コンテストルールやコンテストの開催日を知るためのページはありませんか?
A:SM3CER CONTEST SERVICEWA7BNM Contest Calendarがあります。日本語では前出のThe Hamradioのページ中にコンテストのページがあります。

Q:リアルタイムでDX運用情報を得る方法はありますか?
A:昔はVHFやUHF FMでの情報交換が盛んに行われていましたが、現在は廃れているようです。それ以外ではパケットクラスターという無線またはインターネットを使ったDX局の運用情報交換システムがあります。パケットクラスターの情報をHTML化して Web上で見られるようにしたWebクラスターというものもあります。詳細は検索ページで『パケットクラスター』等のキーワードで検索してご覧下さい。

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