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#236インダクタンスメータ
販売中止


 電子部品のうちコイルは電線をぐるぐると巻いただけのきわめて簡単な構造のものです。 ですから自作するのも実に簡単なのですが、困ったことに自作した コイルのインダクタンスを計る簡単な方法がありませんでした。
 このインダクタンスメータは自作したコイルのインダクタンスを計るために設計したもので次のような特徴をもっています。
 ・ 0.1μHから60μHまでのインダクタンスを計ることが出来ますのでアマチュアが自作する高周波コイルのほとんどの領域をカバーすることができま す。 ・ でき上がったインダクタンスメータの較正は特に必要としません。
 ・ 基準信号を10MHzのTCXOを使用しているため経時変化がありません。
 ・ インダクタンスの測定だけでなくコンデンサボックスとしても使用できます。
 ・ インジケータとしてのメータを使わないでLEDをインジケータとして使っています。
 ・完成度が高く長期間の使用に耐えます。


回路の説明

 ここで回路の説明をしましょう。
 回路全域 基準信号を測定する回路に加え、それに直列につながるバリコンとの間で直列共振させます。この共振によって基準信号の電圧がディップするのを LEDで観察します。
 発振 10MHzのTCXOを使います。 TCXOはTempeeratue Compensated X'tal Oscillatorの頭文字を とったもので非常に温度特性の良い水晶発振器です。 
 本来ならこの様な測定器に使う部品ではないのですが、偶然手に入った物なので、これを使いました。
 発振周波数が安定し、バリコンの容量を標準化することによって「較正」の手間を省くことができました。
 10MHz信号 0.8~1.6μHのレンジを担当する基準信号です。
 TCXOの出力にはそのままでは2倍、3倍といったハーモニックスが存在しますので、それらを除去するために10MHzの共振回路を設けました。
 30MHz信号 0.1~1.5μHのレンジを担当する基準信号です。
 TCXOの3倍波を共振回路で選択してからNANDゲートで増幅し、30MHzの共振回路を通します。
 5MHz信号 3~60μHのレンジを担当する基準信号です。
 TCXOの出力をNANDゲート2つで構成するフリップフロップ回路に通して5MHzを作ります。
 測定共振回路 5MHz(H)、10MHz(M)、30MHz(L)の信号を選択し、被測定コイルとバリコンによって直列共振を起こさせます。 共振に よって注入電圧はほぼアースに落ちます。 尚、ここでいう(H)、(M)、(L)は測定するインダクタンスが(高)、(中)、(低)を示しています。基準 周波数の高中低ではありません。
 検出回路 基準信号の電圧を検出する回路で、1N60による倍電圧整流回路です。 注意して欲しいのは出力がマイナスの電圧だということです。 これは 次のアンプが反転増幅回路であるための措置です。
 直流増幅回路 共振を表わすディップを顕著にするためのアンプでLM358を2段使いました。 初段は反転増幅で、LEDのNULL調整の電圧を合成し ています。 2段目は非反転増幅で、LEDをドライブします。
 電源 006P(9V)を使い、78L05で5Vとしています。


製作

     ケースの穴あけ ケースはタカチの「YM-130」(130W,30H,90D)を使いました。 穴明けはご自分でやっていただきます。
 完成したケースの概念は第2図の様なものです。 第3図に穴あけ寸法図(表からみた図)を示します。 中央の点線で表わされた丸穴は後に述べますがねじ つきのスペーサを固定する位置で、穴はあけないでください。
 パネルの4つの穴、バリコンの3つの穴については後に述べるパネルに書いてある穴位置を直接ガイドとして穴をあけてください。
 ケースの裏側にけがく場合はこの図面を裏側から見てください。(穴明けの際、表裏を勘違いしてしまうことが良くあります。 第2図と見比べて間違いのな いように気をつけてください)
 穴あけ作業が完了してからケースの表面に貼ってある保護膜を取り去ってください。
 スペーサの固定 プリント基板をケースに固定するにはスペーサとビスを使います。基板の上側(ターミナル側)はケースにあけた3.2mmの穴を使います が、手前側(点線で表わした側)は第4図に示すようにスペーサをエポキシ接着剤で固定します。
 作業は先ず、
 ・ 点線で表わしたねじ穴の付近を(ケースの内側)目の荒い紙やすりで表面を荒し、その後をアルコー ル等できれいに拭いておきます(接着を確実にする ため)。 
 ・プリント基板にスペーサを4つビスで固定します。
 ・ ケースの上側の穴にビスを通し、基板の上側を固定します。この状態で基板の下側(手前側)のスペーサはケースに密着しているはずです。
 ・ 手前のスペーサをケースにエポキシ接着剤で接着します(ケースとスペーサの間にもエポキシ接着剤を充填すること)。
 ・ エポキシ接着剤を混合したついでにLEDをケースにエポキシ接着剤で接着しておきましょう。 極性は手前側(基板側)をアノード(+)としてくださ い。
 ・ エポキシ接着剤が完全に固まったことを確認してからビスをはずします。
 これで基板取付けの準備完了です。 次に各部品の取付けをします。
 部品の取付け
 ・ L測定用のターミナルを取付けます。
 ・ そのとなりにアース用のターミナルを取付けますが、ケースとナットの間に第5図のように1mmの錫メッキ線を締めこんでアース端子としてください。
 ・ ・の先端をLEDのカソード(-)に接続してください。
 ・ バリコンを仮に取付けます。
 ・ テフロンのツイスト線を正確に80mmに切って、ターミナルとバリコンの間を配線します。その線はケースに接触(電気的ではない)させて浮遊容量が 一定になるように心がけてください。この作業をおろそかにすると誤差が大きく発生します。
 ・ 電源スイッチを取付けます。(2X5ビス使用)
 ・ 2回路3接点スイッチを取付けます。(2X3使用)
 ・ 電池(006P)用ホルダを両面テープで固定します。
 ・ 1kΩの小型ボリュームの回転止めの爪を削りとりケースに取付けます。(第6図)
プリント基板の配線
 ・ プリント基板のパターンを第7図に示します。
 ・ 部品取付け図を次ページ第8図に示します。
 注意深く配線すればそんなに難しいことはないと思います。 基板に接続するリード線はあらかじめ基板側を取付けておいてください。 この際、電源の配線 はあらかじめ第9図の様に予備加工してから接続してください。
 ・ 仮検査 基板の配線が終わったら配線に間違いのないことを確認してから仮配線で電源をかけ、発振の有無をRFプローブで確かめた後、5,10,30 メガの出力が最大になるように各コイルを調整します。
 ・ 基板を所定の位置に固定します。
 ・ 各リード線を配線します。


調整

 ・ 電源を入れ、LED が点灯することを確認してください。
 ・ 5,10,30MHzの出力調製を再度行なってください。
 ・ インダクタンス切り換えを「M」としてから調製用の10μHを測定端子に取付け、バリコンを回し目盛の「10μH」付近でLEDの光り方が弱くなる か消えるところを探してください。NULLボリュームを回してLEDの消え方が同調点でのみ消えるように調製します。


パネルの作り方

 ・ 付属のパネル(第10図に示す)を外枠の線に沿って切り取ります。
  ・-2 レンジ切り換えのH,M,Lを水溶性のマーカーペンで好みの色で色分けします。 その各々の色でダイアル面の各同心円の領域を色分けして置く と見やすくなります。
 ・ プラスチック板を・と同じサイズに切断します。(後に述べるバリコン用のつまみの加工に使うプラスチック板の分を確保しておいてください) 
 ・ ・・に、バリコン取付け穴と四隅のビス穴をあけます。
 ・ 上記パネルの合計7つの穴をガイドとしてケースに穴をあけます。
 ・ パネルを4本のビス、ナットで固定します。


  バリコン用つまみの加工

 ・ プラスチック板を第11図に示す寸法に加工します。
 ・ 板の中央に描く黒い線はカッター(Pカッター、OLFA-450)などで傷をつけ(切ってしまわないように注意)黒いクレヨン等で色をつけます。
 ・ 大きいほうのつまみ、BM-25に・のプラスチック板をエポキシ接着剤(本当はゴムのり系の接着剤の方が良いのですが、それほど大きな力がかかる訳 でもないのでエポキシ接着剤でもなんとかなります。ゴムのり系の接着剤をお持ちでしたらそちらをご使用ください)で接着します。 このとき、つまみの白い マークと板の中央の黒い線の方向が一致するようにしてください。


つまみの取付け方

 ・ バリコンを左に回し切っておきます。
 ・ バリコンにつまみをかぶせ、板の中央の線をパネルのHとMのあいだにつけてある点に合わせて固定します。(2mmの6角レンチを使用)


ケースの仕上げ

 ・ ケースの身の側(黒)の保護膜を取り去ります。
 ・ 電池を装着してから身とふたをねじ止めします。
 ・ ケースのそこにゴム足を接着します。


使い方

(1)Lメータとして

 ・電源を入れます。LEDが点灯します。
 ・黄色のターミナルに測定したいコイルを取付けます。(リード線はなるべく短く)
 ・レンジ切り換えをH(またはM,L)としてバリコンを回し、LEDの光りが弱くなるか消えるところを探します。
 ・バリコンを回してもLEDに変化がなければレンジを切り換えて同じ操作を行ないます。
 ・NULLボリュームを回し、同調点ででLEDがちょうど消えるように調整します
 選択したレンジ目盛の上の数値が測定したコイルのインダクタンス(単位μH)です。

(2)バリコンボックスとして

 回路の実験でいろいろの数値のコンデンサをカットアンドトライしたい場合に使います。
 ・アースターミナルとその隣のターミナルの間に、目盛板のCに表わす容量が出ます。
 ・両ターミナルからリード線を引き、回路に取付けます。回路を調整して最適な容量を探し当てたら目盛板で容量を読み、その数値のコンデンサに置き換えま す。
 ・この際、リード線が長いとその浮遊容量によって目盛に現われた数値より実際の容量が大きくなりますのでリード線はなるべく短いものにしてください。
 ・リード線による誤差を補正する方法があります。
  ・リードをはずした状態で、 FCZコイルの14MHzか25(21)MHzのコイルのLを測定します。 
  ・この際バリコンがなるべく目盛の右はしで同調するようにコアを調整してください。
  ・同調点が決定したらそのときのCの値を読み取ります。
  ・リード線を取付けます。(コイルはそのまま)
  ・再度同調点を探します。このときのCの値と(c)で計ったCの値の差がリード線の容量になります。

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<第1図>インダクタンスメータ全回路図
<第2図>ケース概念図 2-A 2-B
<第3図>ケース穴あけ加工図
<第4図>基板の取付け方
<第5図>アースラグの作り方
<第6図>ボリュームの加工
<第7図>プリント基板
<第8図>部品配置図
<第9図>電源部ハーネスの作り方
<第10図>パネルのデザイン
<第11図>つまみの加工