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市販のパワーメータで,1W以下の電力を計れる物はほとんどありません.QRPの実験をやろうと思ったとき,まず問題となるのがこのパワーメータです.
このキットはHFから440MHzまでの,10mWから2Wの電力の測定ができます.
#205はMコネクタ用,#206はBNC用です.
回路説明をしましょう.第1図を御覧ください.
R1,R2
ダミーロード用の抵抗です.ここでは周波数特性の良いチップ抵抗100Ω(101)1Wを2本,パラレル接続して50Ω2Wを得ています.
R3,C1
イコライザー用の抵抗とコンデンサです.このイコライザー回路の採用に酔って1.9〜440MHzという広帯域のパワーメータが実現しました.
D1 検波ダイオードです.ゲルマニューム・ダイオード1N60を使用しています.
C2 平滑用コンデンサです.検波ダイオードで検波された高周波信号は脈流なので,このコンデンサで直流とします.
VR1,2 Hレンジ(33dBm,2W),Lレンジ(20dBm,100mW)のフルスケール設定用の半固定抵抗です.
SW Hレンジ,Lレンジの切り替え用スイッチです.スイッチの端子をプリント基板の固定に使用します.
M フルスケール250μAのインジケータです.メータパネルを本機専用の物に交換していただきます.
プリント基板 広い周波数にわたって均一な性能を期するため,両面ガラスエポキシ基板(G10)を使用しています.
以上の部品類は必ずキットに入っている物を試用してください.違う部品を使った場合は(定数は同じであっても)高周波で較正しない限りその性能は保証で
きませんのでご注意ください.
さあ,それでは製作に入りましょう.
(1)ケースのふたを取り付ける穴(4ケ所)にセルフタップビス(黒いビス)を使ってタップを切ります(第2図).
(2)ケースを所定の線で折り曲げ,ケース本来の形にします(第2図).
(3)必要があればケースの塗装をします.
(4)メータの動作確認を行います.テスターを抵抗計にしてください(アナログテスタを使用し,×kΩ).テスター棒の赤いほうをメータのマイナス側,
黒いほうをプラス側に当ててメータの針が振れることを確認してください.
このチェックをしないまま次の作業に移ってしまい,後からメータが働かないことがわかっても,お取り換えはできません.
(5)メータのふたと身を止めているテープを2ケ所剥します.そして,針を引っ掛けないように静かにふたを外します.
アルミ製のパネルの下側に爪が中側に折れ曲がっていますから,その爪を真っ直ぐに伸ばしてください.針に振れないようにパネルを静かに上側にずらして外
します(第3図).
パネルは目盛りが「dBm(1mWを0dBとする)」と「W,mW」の2種類ありますから(第4図),お好みのほうを選んでカッターかハサミできれいに
切り取ってください.
QRPの実験をなさる方は,「dB目盛り」を採用されたほうが後々のためになると思います.
このパネルの裏側の中央部にごく小さい(3mm×5mm程度)の両面接着テープを貼り付けます.そして,いま外したパネルの所へそぉっと滑り込ませま
す.無理をすると針を痛めますからくれぐれも注意して作業してください.うまく行きましたらパネルの中央部を押さえて両面テープでパネルを固定します.
メータのふたを元に戻して,セロテープでふたと身を固定します.
これでメータの改造はおしまいです.
(6)ケースにメータ,コネクタ,トグルスイッチを固定します.
(7)プリント基板の所定の位置に,各部品をハンダ付けします.作業は第5図を参照して,次に述べる順にしたがってください.
@ダミーロード抵抗を取り付けます.ダミーロードのアース側はスルーホールとして,スズ・メッキ線を使って両面でハンダ付けします.
Aイコライザ用の2.2kΩと5pFを取り付けます.
B検波用の1N60を取り付けます.
C平滑コンデンサ1000pFを取り付けます.このコンデンサのアース側は穴の裏側にハンダ付けします.
DVR1,2を取り付けます.この場合,VRの足をあらかじめ第6図に示すように折り曲げておいてください.
E入力のアースはプリント基板の裏側にスズ・メッキ線をあらかじめハンダ付けしておきます.
Fメータに配線するビニル線のプリント基板側もあらかじめ配線しておきます.
(8)プリント基板の入力側をコネクタの中心に持って行き,プリント基板から出ている錫メッキ線がコネクタのアース・ラグのところにくるように切断しま
す.
(9)プリント基板の穴にスイッチの端子を押し込みハンダ付けします.
(10)コネクタとプリント基板のハンダ付けをします.
(11)メータの配線をします.
これで製作はおしまいです.
(1)もし,あなたが,高周波電力計の正確な物を利用できるとしたら,較正はその測定器を使って行っ
てください.
(2)ここでは,そのような測定器がないという前提で較正を行うことにします.
第7図のような電源回路を用意してください.低電圧電源が1〜12Vの間,任意の設定ができる場合は1kΩのVRは不要です.
(3)まず,パワーメータの感度切り替えスイッチをHレンジ(高出力)のほうに倒してください.そして第7図のVR,もしくは低電圧電源を調整して
8.45Vの電圧を掛けてください.そしてVR1(100kΩ)を調整してメータの針がちょうどフルスケールになるようにしてください.
(4)次に感度をLレンジに切り替えます.電圧を調整して1.57Vとしてください.この状態でメータがフルスケールになるようにVR2(22kΩ)を
調整してください.これで較正作業はおしまいです.
使用法は入力端子に高周波電力を入力してください.周波数範囲は1〜440MHzです.入力インピー
ダンスは50Ωです.
CW,AM,FMの場合はメータの表示をそのまま読んでください.SSBの場合は,送信機の出力が飽和する寸前までマイク端子からシングルトーンを注入
して,表示する電力を読んでください.
シングルトーンを出すAF発信機がないときは,口笛で代用することもできますが,マイクに向かって「アー」と声を入れても正確な測定値は得られません.
より正確な測定をしたいときは,第8図によって測定値を補正してください.
#205(Mコネクタ)の場合は,周波数が高くなるとインピーダンスが狂ってくることがあります.その結果,200MHzあたりから上の周波数での測定
値に誤差がでてくることが考えられますので,あらかじめご承知おきください.