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アンテナが平衡型なのに送信機の出力が不平衡型の場合、その整合を図るためバランを使用します。
バランとしては、フェライトコアを使った強制バラン、フロートバラン、そして同軸ケーブルを使ったシュペルトップバラン(バズーカ)等がよく使われま
す。
しかし、それらはインピーダンス比が1:1か1:4に定められていますから、不平衡側(入力側)のインピーダンスが50Ωの場合、平衡側(出力側)は
50Ωか
200Ωに固定されてしまいます。
世の中に存在するアンテナのインピーダンスが全てこの2つのインピーダンスに適合していれば問題は無いのですが、35Ωとか、87Ωとか
123Ωといった半端な数値になってしまうのは皆さんご承知の通りです。
アンテナのインピーダンスに対して自由に対応でき、なおかつ平衡、不平衡の変換ができるバランの出現が長い間嘱望されていました。
第1図は寺子屋シリーズ #180
プリンテナに使用している、マイクロストリップラインを利用したUバランです。
これを第2図のように考えてみます。 先端部A,A'間のインピーダンスは 200Ωです。先端部の AとA'は互いに
180゜位相がずれていますからA,A'間のマイクロストリップラインの長さは1/2λになります。ですから、そのA,A'からそれぞれ
1/4λ離れた B点のインピーダンスが 0Ωであることも判ります。
この2つのことに気が付けば、C,C'とか、D,D'間のインピーダンスが 0〜 200Ωの間にあることも容易に想像することができます。
それではそのことを利用してインピーダンス100Ωの場欄を作ることができるでしょうか? あとから の説明だけを鵜のみすれば立派にバランとして成り立ちそうですが、はじめの説明からすると第5図のようになり、バランとしての性能はあやしくなってきま す。
結論からいうと200Ωから120Ω(100Ωでも何とかなりますが……)あたりまでははじめの説明 とあとからの説明が補いあっていて、インピーダンストランスとバランとしての性能をかねていることが判りました。
FCZ研究所では、個のバランをプリント基板を用いたバランという意味で「プリントバラン」と名付けま した。
アンテナのインピーダンスが120Ωから 200Ω程度の平衡型のアンテナなら給電位置を変更させるだけで自由に給電することができます。 ですから、「特に、こう使わなければならない」と言うこ とはありません。 あなたが考えた方法でお使い下さい。
プリントバランの使用例としてループアンテナに付いて実験例を紹介します。
ラジエタエレメントとして、100%λ(
1λ)の真鍮線(1.4φ)を用意しました。 この線を四角に折り曲げればキュービカルクワッドのエレメントになるのですが、ここでは丸めたまま給電しま
した。(第3図)
第4図に示すように430MHZのアンテナインピーダンスメータを中間に入れて測定しながら給電点を移動して見ました。 その結果、第4図のa点(Uバ
ランのほぼ中央)で送信機側から見たインピーダンスが50Ωとなりました。
ちなみに、この位置は 100Ωのチップ抵抗を取り付けた位置とほとんど同じでした。 つまり、このエレメントのインピーダンスは約
100Ωということになります。
#180のプリンテナの要領でプリントバランの手前側に全長71cmのリフレクタを取り付けました。 はんだ付けの都合で、リフレクタループとしては
72cmになると考えて良いでしょう。この長さは104%λとなります。
その結果インピーダンスは 1エレメントの時と少し違いが出てきました。
2エレメントのクワッドの給電インピーダンスは 1エレメントの時の
100Ω付近より低くなり、約75Ω程度ということです。 それなら、給電点をインピーダンスの低い方へずらしてやれば良いだろうと、第4図のb点へずら
すことによって送信機側から見たアンテナのインピーダンスを50Ωにすることができました。 作る前からおおよその見当は付いていましたが、こんなに簡単
にマッチングが取れるとは思いませんでした。
このプリントバランはFCZ研究所で開発したものです。
プリントバランは小品名ですが、システムとしての名前を開発者の特権として、「FCZマッチングセクション」または略して「FCZマッチング」,「FCZ
マッチ」と呼ぶことにしました。
また、このプリントバランはマイクロストリップラインを使用していますが、同軸ケーブルを使っても作ることが可能な筈です。 同軸ケーブルを使っても
「Uバランの中間部分を使用した、バラン兼インピーダンストランス」に付いては「FCZマッチ」と呼んで下さるよう、特に原稿を書かれる方々のご協力をお
願いいたします。