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#163,164
パッシーブCW用オーディオ フィルタ
163(フィルタ部分のみ)164(ア ンプ付き)


 聖徳太子のお札も過去の物となり、コンテスト時の7MHzのQRMをSSBのフィルタで聞き分けるHAMの聖徳太子も国宝化(死語化?)しつつありま す。
 凡人の私たちは仕方なしにハードウェアである「フィルタ」に頼ることになります。
 CW用クリスタルフィルタを入れれば性能的には相当のところまで期待できますが、コスト面での制約に加えて、改造したRXがCW専用になってしまう恐れ もあります。
 パッシーブタイプのオーディオフィルタは普通CとLの並列共振を利用する物で、実に簡単な構造なのですが、帯域幅を狭くしようと共振回路のQを高くして いくと、俗にいう「フィルタ臭さ」という「キーンキーン」「ピーンピーン」という感じの音になってしまいます。
 第 163-1図に示すようにH.P.F.とL.P.F.を組み合わせて B.P.F.を組み上げてみると、フィルタ臭さは消えてくれるのですが、CやLの値 がなかなか難しい物です。 なるべくパーツの種類を少なくして、H.P.F.とL.P.F.を作る事ができればよいのですが…。
 そこで、いろいろとパーツを組み合わせて「とてもパッシーブフィルタとは思えない高性能のオーディオフィルタ」の開発に取り組んで見ました。
 話を始めたら、それはそれは長い話になりますが、とにかく完成したフィルタは第 163-2図のような物です。 このキットは、上記の回路をタカチのSW-120Bと いうプラスチックケースに入れたものです。 スピーカは外付けですから別に用意してください。
 組み立て実体図は第 163-3図、第 163-4図を参照してください。 このフィルタは減衰がかなりありますので、出力回路にAFのアンプを入れる必要がありす。
 AF-AMPとしては外部部品が少なくてすむLM-386を使うことにしました。 LM386の回路には、普通、1,8ピンの間に10μF程度のコンデ ンサが入っていますが、このキットの場合、増幅率はそれ程要りませんから、このコンデンサは割愛してあります。 その結果、LM386のS/Nが改善さ れ、ヘッドホンを使った場合でも静かに聞くことができます。 
 ケースの加工は第 163-5図を参照してください。
 電池の遊びを押さえるために、電池ケースの蓋にウレタンスポンジ を取り付けました。
 電源が入ったときの表示は特に設けませんでしたが、必要なら第 163-6図の回路を付加してください。
 又、外部電源を利用する場合は、8〜12V程度の電源を用意してください。 その場合、電源アダプタのような簡易電源を使用するときは、ハムの発生を押 さえるため、平滑回路をしっかりしたものにする必要があります。 第 163-7図を参照してください。
 使用した感想は「静かで、素直」というものです。
 「ジャー!」というQRNが無くなり、目的信号だけが浮かび上がってきます。 バンド内がすごく静かになった感じです。SSBフィルタを通して4局位聞 こえている信号が1局になってしまうのは驚異的です。
 「フィルタ臭さがない」のもこのフィルタの特長です。

 QRMとQRNによるストレスが、これで大幅に緩和する事ができるでしょう。
 今まで良いことばかり並べてきましたが、このフィルタに問題がまるっきりないわけではありません。
 一番の問題点はピークとなる周波数が固定されてしまう事です。 この問題の解決策として、BPFの部分の1μFと0.47μFの容量を加減することに よって若干の調整は可能となります。
 また、事によると相手局にゼロインするためにRIT回路を再調整する必要が生じるかも知れません。 しかし、それらはほんの少しの日時が解決してくれる 事でしょう。
 是非一度、コンテストの日に7MHzでこのフィルタの切れ味を味わって見てください。

<第1図>L.P.F.とH.P.F.の組み合わせ
<第2図>パッシーブ型オーディオフィルタ
        の回路図(AFアンプを付けた場合)
<第3図>パッシーブ型オーディオフィルタの実体図
<第4図>AFアンプ部の実体図
<第5 図>ケース加工図
<第6 図>電源表示回路
<第7 図>簡易電源の平滑回路