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雑音レベルの非常に高いところで使うマイクに「咽頭マイク」というものがあります。
人間の発する声は、喉のところにある声帯で発生した振動を、口という共鳴体を通して空気中に発散させたものです。
雑音レベルの高いところでは、声帯に近いところで声の素を採って、アンプで増幅してやれば、雑音を除く事ができると考えられます。
しかしです。実際に普通のマイクを喉のところに接触させて自分の声を採ってみてください。それはとても人間の声とは思えない恐ろしく鼻づまりしたものの
はずです。
それでも、「咽頭マイク」という言葉が世の中には存在しています。あの喉のところで聞こえた恐ろしい声をどうしたら「普通の声」にする事ができるので
しょうか。 それを可能にするのが「イコライザ」です。
あの恐ろしい声の正体は、そのスペクトルがほとんど低音部で構成されていて、高音部がほとんど出ていないのです。ですから、この場合のイコライザとは、
低音部を極端にカットして、高音部を増幅してやるという実に複雑な回路だったのです。 既製品として、メーカが製造している咽頭マイクはそのようなイコラ
イザを内臓した物でしたが、そんなイコライザをアマチュアが自作するのはちょっと難しい物です。
そこで FCZの大発明(?)です。
あなたはセラミックブザーというものをご存じですか?
電圧の変化を音の変化に変換する素子ですね。
こういう素子(トランスジューサという)の場合、大抵は「逆もまた真なり」の諺があてはまります。
セラミックブザーをマイクロホンとして使ってみましょう。ちょっとゲインがたりないので、アンプを一段いれてやると……、声が聞こえる事は聞こえるので
すが、それは、何やら「シャラシャラ」した感じの音です。どうやら低音部が完全にカットされてしまっているようです。
普通は、「なーんだ、ダメかー」と、この実験は失敗に終わるケースだったと思います。
しかし、ここで「逆転の発想」です。 セラミックブザーを喉に当てて見たのです。すると喉からの声がちょうどイコライザに通したように「普通の声」に
なって聞こえるではありませんか! これは大発見です。
…と、いう具合で、イコライザの要らない「咽頭マイク」を開発することに成功しました。
作り方といっても、セラミックブザーにリードワイヤを付けるだけの話です。
(1) 使用するパーツは…、富士電気化学(株)製のセラミックブザー"EE-24K"、極細シールド線70cm、
3.5φ2Pのプラグの 3点です。
(2) EE-24Kの外観を第153-1a図に示します。これの裏側を同 b図に示します。
矢印のところを細いマイナスドライバ等でこじると裏蓋を外す事ができます。
(3) 電極に接続している赤、黒のビニル線を半田ごてで外します。
(4)
極細のシールド線を第153-2b図のように半田付けします。この場合、芯線側の半田作業をもたもたやっていると、半田が付かなくなってしまうことがあり
ますので要領よく仕上げてください。
(5) シールド線の他端に 3.5φのプラグを半田付けします。
以上で咽頭マイクの工作は終了です。
(1)
咽頭マイクをゴムベルト等で喉に巻き付けます。手で触ると頸動脈がピクンピクンと感じるところです。 (2)
マイク感度はちょっと低いので、寺子屋シリーズ#094、マイクアンプを使ってください。
(3) 唾を飲み込むと「ゴクン」という凄い音が出ます。
それを除くのには、このマイクを頬に取り付ければよいのですが、固定の仕方が難しいので工夫して見てく
ださい。
(4)
実際にトランシーバを通して使った音質は、相手がいつも話をしている人だと、「あれ、風邪でも引いたの?」と質問される位で、知らない人なら「何の感想も
ない」という具合の音質です。