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VOXとは、音声で自動的に送信機を働かせる回路の事を言います。つまり、手を使わないで送受信の切り替える回路です。(Voice
OperatingXの略で、ここでXとは「何かの装置、回路」を示しています。例えばTXは
Transmitting Xであり、RXはReceiving Xです)
このシステムはアマチュア無線だけでなく、いろいろな用途に使用されています。 たとえば……、テープレコーダで音が入ってきたときだけ録音するシステ
ムとか、国際電話では、私たちが気が付かないような素晴らしいタイミングで送受信を切り替えています。(国際電話が片通話方式だと気が付かなかった人も多
いのではないでしょうか)
それでは VOXに付いて簡単に説明して置きましょう。 第147-1図に VOXの基本的な構成図を示します。
マイクロホンに入った音声信号は 2つに分岐され、
1つはトランシーバのマイク回路に入りますが、トランシーバはまだ「受信」のままですから電波として発射されません。
一方、アンプで増幅された方の信号は整流回路で整流された後、時定数回路に入ります。ここでは整流された信号が第147-2図に示すように、言葉の区切
り区切りでそのつど途切れるため、トランシーバがバサバサと、余りにもせわしなく送受信を繰り返さないように、信号の切れ目に若干の時間遅れを設けてス
ムーズな交信となるように考慮されます。この時間遅れを「リカバリータイム」といいます。
若し、この時間遅れが言葉の先頭に現れると、いわゆる「頭切れ」を起こしますので、言葉の先頭では時間遅れが起きないような考慮もされています。この先
頭部の時間遅れを「アタックタイム」といいます。
時定数回路を出た信号はスイッチング回路に入り、トランシーバの PTT回路を「送信」に切り替えます。
しっかりした VOX回路には受信してスピーカから出ている音で
VOXが誤動作しないように「アンチトリップ」と言う回路があるのですが、受信時にイヤホンを使っている場合は問題ありませんのでここでは省略することに
しました。
以上の回路を個々のパーツで組み上げようとすると結構複雑な回路になってしまいますが、JRCから「NJM- 2072」と言うレベル検出用ICが発売
されていますので、そのICを利用してみることにしました。
第147-3図に NJM2072の内部ブロック図を示します。
第147-4図にIC-2N,3N用の
VOXの回路図を示します。ここでは、IC-2N,3Nというハンディ機としては古典的な機種を対象としていますが、後に述べるように接続の仕方をちょっ
と換えるだけでほとんどのトランシーバ用として使用する事ができます。
部品定数上気をつけなければならないのはC6で、これは先に述べたリカバリータイムの調整用コンデンサです。 1μFでは小さすぎ、
2μFでは大きすぎるという感じの微妙な物です。 電源スイッチはありませんが、トランシーバへの出力端子J2に
ちょっとしたトリックがあって、ここにプラグを差し込むと電源が自動的に入るようにしてあります。 電源はUM-5
1本ですが、消費電流は約
1mA程度ですから電池の消耗はそれほど心配しなくてもよいでしょう。 回路の組み立ては、専用のプリント基板を作ってもよいですが、回路が簡単ですから
FCZ小型IC用基板(寺子屋シリーズ#209)を使用して組み立てる事にしました。 部品配置図を第147-5図に示します。
(1) J2とトランシーバのマイク端子間をつないでください。
(2)
J1に寺子屋シリーズ#051のヘッドマイクをつないでください。ヘッドマイクをお持ちでない方はコンデンサマイクをこの端子に仮付けしてください。
(3)
電源を入れてマイクに向かって何かしゃべるとトランシーバが「送信」になると思います。 別の受信機で変調がきれいに掛かっているかどうかチェックしてく
ださい。
(4)
しゃべる事を止めても「送信」から「受信」に何時迄も替わらない時は、RFの回り込みが考えられます。 マイクロホンの回路にパスコンをいれたり、回路全
体を金属ケースにいれるなどして対策を講じてください。
(5) 言葉の切れ目であまりにも言葉がバサッバサッと切れるようでしたら、C5の値を 0.5μF位ずつ変化させてみてください。
(6) マイク感度の過不足の場合はNJM2072の
1,2,3番ピンを第147-6図の様に処理することによって増幅率を多少コントロールすることができます。
(7) 調整が終わったらケースに装着してください。
マイクに向かって送信したいときにしゃべれば自動的に送信されます。
マイクロホンに呼気が掛りますとトランシーバが「送信」になってしまいます。マイクロホンを口や鼻の直前より若干ずらして置いてください。
使用後は必ずトランシーバと VOXをつなぐコードを外して電源を切っておいてください。
(1) この
VOXはアイコムのIC-2N,3N用に設計しましたが他社のトランシーバに使用する場合は第147-7図を参照してください。
(2) この VOXに使ったNJM2072は、 VOXの他、いろいろなコントロール回路に利用できます。
最近では、スロースキャンTVの送信に使われることがよくあります。 楽しい用途を考えてみてください。
#147の機能部品だけを集めた物なので省略します。