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寺子屋シリーズ#029に第137-1図のような、簡単なFMワイヤレスマイクがありました。 この
FMワイヤレスマイクは非常に簡単な回路で、結構「送信機を作った」という感じを持たしてくれますので送信機自作の入門用として有用な物でした。
しかし、回路が簡単であると言う事はいろいろと欠点もでてくるものです。その一番大きな物は、発振周波数が変動しやすいということでした。
そこで、どうしたら周波数変動(以下 QRHという)をなくす事ができるのか考えてみました。
(1)発振コイルを空芯コイルからコア入りコイルにする。
(2)発振段の後にバッファを付ける。
(3)回路をシールドする。
等という対策案がまず考えられます。
(4)水晶制御とする。
というのもありますが、簡便性と経済性から遠のきますのでここでは考えないことにします。
まず(1)の発振コイルから考えてみることにしました。
#029のFMワイヤレスマイクに手を近付けると周波数がずれて行きますが、発振コイルにコア入りコイ
ルを使うと、コイルの
5mm位そば迄手を近付けない限り
QRHが感じられなかった事が、#123FMステレオマイクロ放送局や、#135FMラジオの局部発振回路でもう確認済みです。
そこで、10S50に使っているトミタの 6B2というコアに0.6mmウレタン線を 4回巻いたコイルと交換して見ました。(第137-2図)
この結果、 QRHはかなり少なくなりましたが、キャリアを断続していると、時として QRHが起きてしまうことがあります。
次に行った対策はバッファを取付けることでした。
回路は第137-3図のような物です。コイルは寸法の関係から発振コイルと同じ物を使いました。
バッファを取り付けると QRHは格段と少なくなりました。しかし、発振コイルの裏側あたりに手を近付けるとやっぱり
QRHを起こします。そこで(3)のシールド対策として、片面のプリント基板でシールドしました。これで基板の裏側に手を近付けても
QRHは起きなくなりました。
QRHの原因はまだ他にもありました。それは、発振段のゲート抵抗のあたりに手を近付けると起きるというものです。第137-4図を御覧ください。この
原因はゲート抵抗の取付け方向にあったのです。
左側の図のようにホット側(アースでない方)が基板から離れた方に位置していると QRHが起きやすいのです。この対策は抵抗の向きを
180°ずらしただけです。
こんな簡単な対策でも回路を安定かすることができるのですから、部品を基板に取付けるとき、極性のない部品でもどちら向きに取付けるのがよいか、よく考
えるように習慣づけるようにしましょう。
音質については、#029の場合、低音が強調され過ぎた感じがしましたので、第137-5図のように カップリングコンデンサを 0.1μFと小さくしました。これで了解度が大分改善されました。
確定した回路図を第137-6図に、プリント基板のパターンを第137-7図に、部品は位置図を第
137-8図に示します。
ECMの前面には第137-9図のようにウレタンフォームでカバーしておくことにより呼吸音、風切り音を少なくする事ができます。
シールド板の取付け方は第137-10図を参考にしてください。
回路が完成したら試運転をしてください。
うまく働いたらケースに入れましょう。私は明治製菓のチョコベビーの空箱にセットしましたが、いろいろと楽しいケースを考えるのも面白いと思います。
使用上の注意として、FMワイヤレスマイクの発振周波数は必ず放送用電波のないところに設定するようにしてください。 移動運用をする際は移動先で放送
局の電波に妨害を与えないように気を付けましょう。
電力を増やす事は、電波法に触れる事になる恐れがありますから絶対にやらないでください。