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#125 電界強度計

          
 電界強度計と一口で言っても、その種類はそれこそピンからキリ迄あります。 要はある場所における電界の強さが分かればよい訳ですが、その場合、結果を 絶対値迄を要求するとなると非常に高価なものにならざるを得ません。
 しかし、測定結果が相対値であればよいとすれば、かなり簡単な構造でも測定は可能となります。
 この電界強度計は後者の分類に入る物ですが、測定法とその分析法を会得することによって、私たちが使う(または作った)アンテナの測定には十分実用にな るものです。

            
回路

 この電界強度計は、50,144,430MHzの各バンド用(モノバンド)に構成されています。
 回路は共振部と検波部、アンプと表示部に分かれており、共振部は各バンド毎に異なりますが、そのほかの回路はすべて同じ物を使用します。
 第125-1図に回路図を、第125-2図に共振コイルを示します。
 共振回路で同調された信号はインピーダンスの高いところで検波され、オペアンプ(LM-358)で増幅されメータを振らせます。

            
製作

 次に述べる順序で製作してください。
 (1)ケースの蓋取り付けねじ用の穴にセルフタップビスを使ってタップを立ててください。この時、若干潤滑油を付けて行うとスムーズにねじ穴をあけるこ とができます。
 ケースの身とふたの折り曲げ部分を曲げて、ケースとしての形を整えます。
 (2)ケースの表面を覆っている保護膜を取り除き、必要に応じて塗装を行ってください。 塗装するときは、すでに塗ってある白色塗料はそのまま下塗りと して利用できますが、アルミニウム地金のところはサンドペーパーを使って表面を荒らして、ベンジン等で油分をよく取り除いてからカラースプレーを使うとよ いでしょう。
 (3) BNCコネクタを取り付けます。 アースラグが第125-3図のようになるようにペンチ等でしっかり締め付けます。
 (4)バリコンのアースラグを第125-4図の様に折り曲げます。これはビスでバリコンを固定したときに、自動的にバリコンがシャーシーにアースされる ための処置です。 折り曲げたアースラグに0.01μFのコンデンサを半田付けします。
 その後、ビス(2.6x3)でバリコンをケースに固定します。
 (5)スイッチを 2つ取り付けます。
 (6) 006P用のホルダーを第125-5図のように取り付けます。この時、スナップを通す穴と 006Pの端子の向きが同じ方向になるように取り付けてください。
 (7)メータを両面テープかエポキシ接着剤でケースに固定してください。(メータの目盛りを構成する必要のある方は較正が終わってから固定してくださ い。)
 (8)プリント基板の配線を行います。第125-6図を参考にしてください。
 初めにICソケットを取付け、順次抵抗、ダイオード等を取付けます。
 最後に取り合い用の配線をします。
 (9)プリント基板を両面テープでメータの背後に取付けます。
 (10)006Pスナップを電源スイッチとプリント基板のグランド部に取付けます。
 (11)感度切り替えスイッチ(トグルスイッチ)に 10kΩの抵抗を付けると共に、同軸コネクタのアースラグに取付けた1kΩの抵抗を他端に取付けます。
 (12)共振用コイルを取付けます。このコイルは空芯のため、寸法が少しでも狂うと目的の周波数に同調できなくなってしまうことがありますから、第 125-2図を参考に正確に製作してください。
 (13)検波用ダイオード(1SS16)をコイルと0.01μFの間に取付けます。
 (14)基板と各部品間の配線をおこないます。
 (15)メータの両端に0.01μFのコンデンサを取付けます。
 (16)バリコンのシャフトにつまみを取付けます。

            
試験

 (1)電源スイッチを入れて、感度スイッチを「高感度」

の方に倒します。
 (2)バリコンの背面にあるトリマを二つとも最小とします。(トリマのロータを一番抜けた位置にする)
 (3)アンテナ端子に適当なアンテナを付けます。
 (4)送信機から電波を出し、( SSBの場合はしゃべらないと電波が出ないので注意すること)バリコンを回してメータの針が一番大きく振れるところへ同調を取ります。
            較正
 (1)目盛りは相対値で目盛ります。 フルスケールを 0dB(絶対目盛りではない)として、振れが少なくなるにしたがって -dBで示します。
 (2)精度がそれほど必要でない場合は直流電圧で較正します。 第125-7図のような回路を作り、 VR1で Vメータ(テスタ)が 10Vを示すようにセットしてから、 VR2で較正するメータをフルスケールにセットします。
以後、VR1を第125-1表に示す値に調整して各dBの目盛りを打ちます。
 この場合はダイオードの非直線性をさけるためにできるだけ電界の強いところで使用するのが(低感度)精度を高くするこつです。
 (3)較正済のアッテネータをお持ちの方は、そのアッテネータを利用して較正する事ができます。(第 125-8図参照)
 まず、アッテネータを 0dBとします。電波を出して,メータの針がちょうどフルスケールを示すように電波の強さ、送信機との距離、アンテナの向き等を調整します。 アッテネー タを 1dB絞り、メータの針の振れたところが-1dBです。以後、この操作を重ねて行き較正を行います。
 (4)SSGをお持ちのかたは絶対目盛りを付けることもできます。 ただし絶対目盛りを目盛るときは電源の安定かと、周波数特性管理する必要がありま す。(バリコンの位置で共振回路の Qが変化する)
 (5)(3),(4)の方法の場合は感度切り替えをした時の関係を正確に較正しておく必要があります。
 (6)正確なアッテネータをお持ちでしたら、較正を特に行わなくてもアンテナの測定は可能です。
 その場合は使用法の(2)を御覧ください。

           
使用法

 (1)アンテナのゲイン、ビームパターンの測定は較正法の (2)〜(4)の方法で較正した場合は第125-11図の方法でメータの読みデータを記録します。
 (2)較正法(6)の場合は 測定系は第125-10図のようにします。電界強度計は「高感度」として、アッテネータを-30dB位にセットします。ア ンテナをフロントに向けてメータが振れる点を基準点とします。(メータの振れが大きすぎるか小さすぎる場合はアッテネータで調整する)そのあと、アンテナ を回してメータが基準点をさすようにアッテネータを調整し、フロントの時の値との差をデータとして記録します。
 (3)受信アンテナはなるべくビームアンテナを使うようにしてください。(測定者の移動でデータが大きく変化するのを防ぐため)
 (4)簡易なアンテナの性能チェックは、電界強度計にアンテナを付け、送信機に試供アンテナをつなぎ送信し、一定の距離を隔てて電界強度計の針の振れ具 合で判断します。もちろんメータの振れが大きいアンテナ(電力、距離一定)が良い(ゲインが高い)アンテナです。
 同じ方法でバックやサイドの切れ具合を観察する事ができます。