Cosy MUTO,
JH5ESM
11April, 2009
このページでは,一種類のPNPトランジスタ(具体的には2SA1015GR)だけで作った7MHz CW用QRPトランシーバについて紹介しています. 本機は次のようなコンセプトで設計・製作しました:
図1 7TR1015BB回路図(図をクリックして拡大.PDF版はこちら.)
図1に本機の回路図を示します.
受信系の動作は7R1015BBとほぼ同じですので,ここでは割愛します.気になる方はこちらをご参照下さい.
7R1015BBと異なる点は,局発をLC VFOからVXOに変更していること,ミキサ直後のフィルタをLC共振回路で約735[Hz]の2次BPFとしたこと,及びそれにあわせて低周波段の位相補償兼LPF用キャパシタの値を変更したことです.
オーディオフィルタ用のインダクタ(100[mH])には,防磁型であるTDKのELF1010シリーズを用いました.共振インピーダンスは約700[Ω]となりちょっとミスマッチしていますが,問題になるとは考えていません.
送信系は,VXOをエミッタフォロワでバッファリングしたあと,励振増幅,電力増幅の4段構成としています.
終段は2SA1015の3パラで130[mW]出力を得ていますが,ゼロバイアスでは動作しませんでしたので,Q10でバイアスをかけています.
キーイングは励振段のエミッタを断続しています.
RF出力はπ型LPF2段(アンテナ側に第2高調波に対するトラップを付加)により高調波を抑制しています.
送受切換はセミブレークインにより送受電源系を切り換えています.
アンテナ系の切換は,送信信号自身によりQ35, 36が導通して受信系アンテナラインをカットする方式をとりました.100pF//50pF TCはL4と7MHz帯に同調する直列共振回路を構成しますが,送信時には送信LPFのキャパシタとしても機能します.
サイドトーンは移相発振回路のバッファ段を断続して,低周波段のCE分割回路に与えています.
回路は中型のブレッドボード(EIC-104)に実装し,L型アルミ板で作ったフロントパネルとリアパネルを取り付けました.図2に実装の模様を示します.0.3インチのジャンパワイヤがたくさん必要
ですが,0[Ω]ジャンパ抵抗を使うのも手でしょう.
フロントパネルは左からヘッドホンジャック,音量,RF ATT,受信同調ダイヤル,送信同調ダイヤル,キャリブレーションSW及び電源SWです.リアパネルは左から外部電源ジャック,アンテナ,電鍵となります.
ブレッドボードとパネル取り付け部品との間の配線は,0.5[mm]の単線を用いています.
パネル面の仕上げは,A-Oneの透明フィルムラベルにプリンタで印刷したものを全面貼り付けしています.エッジを折り返しているのですが,このラベル用紙はそのような処理を元々想定していませんので,エッジ部分の仕上がりにはちっぴり不満が残ります.
(a) フロントパネル | (b) 部品配置及び配線 | (c) リアパネル |
送受信周波数範囲 | 7.000~7.010[MHz] |
RF定格出力 | 130[mW] @ 3[V] supply voltage |
高調波 | 基本波に対して−50[dBc]以下,電波法令に定める基準に合致 |
感度 | 20[dBµ] @10[dB] (S+N+D)/(N+D) |
0[dBµ]信号受信可能(受信限界レベル:-10[dBµ]) | |
電源 | 単三アルカリ乾電池2本,外部電源 DC 3[V],マイナス接地 |
RFコネクタ | BNC 50[Ω] |
電鍵端子 | 3.5[mm]モノラル,プラスキーイング |
低周波出力端子 | 3.5[mm]ステレオ,16~32[Ω] |
外部電源端子 | 2.1[mm]標準DCジャック,マイナス接地 |
消費電流 | 77[mA](送信時) |
4.5[mA](受信無信号時) | |
外形寸法 | W215×H60×D132[mm](突起物を除く) |
質量 | 0.54[kg](内蔵乾電池を含む) |
図3に送信出力波形及びスペクトラムを示します.波形には目視の範囲で歪みは認められず,それはFFT分析の結果からもよくわかります.
電波法令の基準に合致した出力が得られています.
(a) 送信波形 | (b) 送信スペクトラム |