7.4 ペンギンパレード

 仕事の方は、まあまあ順調にいって、何とか今日は早く帰ることができた。初日の仕事の進み具合ではどうなるかと思ったが、今日8/19は17時に終わり、すぐホテルに戻ってきた。18時15分さあ、これからペンギンパレードを見に行くぞ。
  真冬のビーチでは絶対に寒いと信じ、スキーウェアを持参した。今まで2回ペンギンパレードを見たが、いずれも夏だったにもかかわらず、海から吹き付ける風で、寒い思いをしたからだ。
 EOS 55にはISO800の高感度フィルムを入れた。そしてレンズは50mm F1.8の単焦点レンズに付け替えた。いつも使っているズームでは暗すぎて、思うように写らないと思い、安い50mmのレンズを用意してきたのだ。
 ペンギンは夕暮れと共に返ってくるので、早く行かないと暗くなってしまう。ここホテルからペンギンが見られるビーチまでは、車で15分くらい走ったところだ。S君も一緒に僕ら家族と出かけた。
 この島には民家らしいところは少ないので、かなり暗くなった道を飛ばしていく。駐車場に着いたときは、すでに他に入ってくる車もなく、どうも一番遅かったらしい。
 入場料を払ってペンギンリザベーションセンターに入る。そう、ここはペンギン保護のための施設であって、入場料を取ってその収益をペンギンの保護に使っているのだ。 ビーチまで行ってみると、ぼちぼちペンギンが戻ってきている。寒いと思って着込んできたが、今晩は風もなく少々厚着をしすぎたようだ。お客はあまりいない。こんな真冬に見に来る人も少ないのだろう。

 ペンギンリザベーションセンターからビーチまでは少し距離があるが、そこへ行くには、人間は土の上を歩けない。そこはペンギンの通り道だ。人間は木で組んだ高さ50cmくらいの橋を歩かなければならないのだ。ちょうど、尾瀬の湿原に架かっている橋みたいなものを想像していただければ当たらずとも遠からずだ。ビーチには観覧席が作られており、海からあがってくるペンギンを見ることができる。
 ぼくはビーチの端まで降りずに、途中でペンギンを待ち伏せて写真を撮ってやろうとカメラをセットした。小型カメラ用の三脚を持ってきたが、これがまたかなりやぐく、一眼レフの重さに耐えられない。しまった、こんなところでケチったばかりにうまくいかないとは。とはいえ、こんな家族旅行に大きな三脚(実は持っていないのだが)を持って行くわけにもいかないし、まあ仕方がない。三脚の足をまとめて一脚で使うことにした。
 ところが、どうもあまりペンギンが帰ってこないのである。これまでの経験では、ぞろぞろとたくさんいたのが、今日はぱらぱらとしかいない。せっかくカメラを構えても、その前を通ってくれないと写せない。結構粘っていたが、いっこうに増える気配がない。それより、だんだん客が帰って行くではないか。ビーチの下まで降りて、監視のおじさんに聞いてみると、冬の間はあまりペンギンは海へは行かないとのこと。ということは帰ってくる数も少ない。


本当はペンギンがぞろぞろとたくさん帰ってくるはずだったんだが、、、

 とうとう見学用の照明が落ちだした。ペンギンのために、薄暗い照明だが、これが消えるとあたりは真っ暗になってしまう。仕方がない、リザベーションセンターの方へ戻っていくことにした。監視の人も同じように戻っていくので、端からだんだん照明が落とされていく。ペンギンのねぐらのあるところでは、そこらじゅうでペンギンの鳴き声が聞こえる。そしてリザベーションセンターまで戻ってきた。
 資料によると、冬の時期に見られるのは、約400頭。夏の時期には約2,000頭見られるとのこと。たしかに、僕が過去2回見たときは、12月と4月だったので、日本でいえば6月と10月くらいの気候で、真冬と比べればたくさんいたのだろう。
 残念ながら、冬ということで、あまりたくさんのペンギンは見ることはできなかったのが、子供たちにとっては心残りだっただろう。そして、帰りに下の子供が何気なく言った一言にぞーっとした。
 「お父さん、また夏に見にこればいいじゃない」
 全く、いくらかかっているのか分かっているのか!

 仕事の方もだいたい目途が付いたので、明日の午後遅くにはメルボルンに移動する。

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