2.2 オーストラリアに着いた


ビジネスクラスの席で、エコノミーのウェルカムドリンクを飲む。

 8月7日午前4時15分、ケアンズ国際空港に着いた。まだあたりは暗い。子供たちはぐっすり寝ていたが、起こさなければならない。ビジネスクラスの座席でゆっくり休むことができた。といっても、こんな朝早いから、眠たくないわけが無い。
  ここケアンズで、今度はブリスベン行きのカンタスQF98便に乗り換えだ。名古屋からのQF50は最終目的地はシドニー行きなのである。このQF98便も国際線で、多分日本のどこかから来た飛行機だろう。
  空港内の待合室(といっても、名古屋空港の5倍くらいある)に次の飛行機を待つ乗客がたくさんいたが、ほとんどが日本人である。免税店も開いていたが、ざっと一渡り見ただけで、席を見つけ座ることにした。とりあえずは、家族に、
  「ここは帰るときにまた寄るから」
  といって、何も買わなかった。
  午前5時半、QF98便はブリスベンに向けて飛び立った。今度の席は残念ながら広い席ではなく、後ろから4番目の通常のエコノミー席である。この席では、家族4人が横一列に座ることができた。といっても、窓際からだから、家族3人は窓際の席で、一人僕だけ通路を挟む形になったが。
  機内はだいぶ空いていた。朝食が出る前に中央の4人がけの座席を移動して、朝食後は座席の肘掛けを全部跳ね上げ、横になってしばしの眠りについた。旅行前は、家族はいつも一緒にいようと思ったものだが、結局はオカミサンも席を移動して、バラバラになってしまった。まあ、それでも窮屈な思いをするよりも、どうせすぐ近くなんだから、バラバラでくつろいだほうが楽なのである。
  午前7時25分、ブリスベン国際空港に着いた。ここには、今年の3月にオーストラリア出張した際に、一度立ち寄ったことがあった。本来ならケアンズに立ち寄るところを、ケアンズ地方に台風が接近していて、降りられないから、その手前のここへ立ち寄ったのだった。
  ブリスベン空港では、タラップを降りて地上に降り立った。やはり涼しい。曇り空ということもあるが、半袖シャツを着ていた僕でも、薄い上着が欲しいくらいだ。感じとしては、20度Cくらいだろうか。ここで一枚家族の写真を撮った。なかなかジャンボの近くでは撮れないから。
  さあ、ここで無事入国できれば、ドアの先にはKlausと奥さんのCarmenが待っているはずだ。通路を空港ビルのほうへ歩いていく。僕らと同じような家族の一行のうち、その娘だろうか、ハンディカムで歩きながら飛行機を一生懸命撮っている。自分の持っているビデオに比べて、はるかに小さく、コンパクトカメラに近い大きさだと、ビデオでも悪くはないなあ、と心が揺らいだ。というのも、今回の旅行ではビデオではなく、写真一本で行こうと思っていたからである。
  すぐ思い直して、みんなが歩いていく方向へついていった。空港ビルに入っていくと、まずは第一関門入国審査である。入国審査は簡単に終わった。家族連れの観光目的だと、何も聞かれずにすんなりだ。ちょっとしたハプニングといえば、上の子供が我が家の犬の写真をパスポートに挟んでおいたので、それを見た審査官が、
  「ワオ」
  と、別段大きくはなかったが声を上げたのだ。それには僕らのほうも驚いた。
  名古屋空港で預けた荷物をターンテーブルから取り出し、カートに乗せて緑の無税の出口から出る。呼び止められることもなく、無事に出ることができた。さあ、Klausが待っているぞ!
  午前8時少し前、果たして、1.5ヶ月ぶりの再会である。前回あったのは、今年の6月中旬に日本に来た時であった。奥さんのCarmenとは初対面である。以前取引き先のパーティーの写真を見たときに写っていたので、なんとなくすぐ分かった。
  お互いに再会を喜び合い、Carmenに家族を紹介した。Klausは、6月に来日したときに、ちょっと我が家に立ち寄ったことがあるので、家族はKlausの顔は知っている。
  とりあえず空港内のカフェテリアに座って、これからの休暇の打ち合わせをした。彼には、旅行の半年くらい前から、いろいろなパンフレットや情報を提供してもらっていたのだ。彼には大変に感謝している。
  この時も、彼の住んでいるところから空港までは、フリーウェイで1時間かかる道のりを、わざわざ朝早く出てきてくれたのである。僕らのことを本当に友達だと思っているからこそできることだ。ただの仕事上の付き合いだけならここまではしてくれないだろう。 Carmenにしてもそうである。夫の友達だからというだけでは、そうも一緒に来ないだろう。その事は休暇を終えて、ここを離れるときに分かったのであった。

  さっそくKlausから、Gold coastへの行き方、Sunshine coastへの行き方、ホエールウォッチングのこと、ホテルのことなど、レクチャーしてもらった。(泊まるところについては、一切予約していなかったのだ)特にありがたかったのは、道路地図を貸してくれたことと、ホエールウォッチングのことだ。ホエールウォッチングは、8月の第1週から始まったとのことで、なるべく休暇の後のほうがよいとのこと。というのも、これから鯨がどんどん集まり出すわけだからだ。
  それを聞いて、まずはGold coastへ行くことにした。3,4日過ごして、それからSunshine coastへ行けばよい。どうせ休暇なんだから、特にスケジュールを決めずに、行き当たりばったり、その日の体調、気分で決めればいいじゃないか。だからこその休みである。
  Klausがなにか飲み物欲しくないかというので、僕とオカミサンはカプチーノ、子供たちはジュースを頼んだ。オーストラリアではカプチーノは大変ポピュラーなコーヒーである。だからここは郷にいっては郷に従え、でカプチーノを頼んだのだ。 ところがKlausが持ってきたコーヒーは全部カプチーノだったのだ。というのはCarmenはあまりカプチーノが好きではないという。何で普通のコーヒーじゃないのという顔をしたので、その時Carmenに、
  「How long are you marred? (結婚して何年?)」
  とすかさず聞いた。彼女は23年と答えたが、それがどうしたという顔をしているKlausがおかしかった。

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