DXCC by JH4RHF  Last update 2014/03/05

--- DXCCについての一考察

2000年前後、ARRLはDXCC2000と銘打ってDXCCのルール、クライテリアを大幅改訂しました。これによりDXCCのルールはかなり整然と見通しのよいものとなりました。それ以降何度かクライテリアの改定が行われて、エンティティを定義するクライテリアは現行以下の通りです。
 

1. 政治的エンティティ

政治的エンティティとは政治的または行政的理由によって分類されるエンティティである。これらのエンティティには一般の住民が居住していること。駐留軍や観測所等の職員のみが駐在するものを含まない。

以下の条件を満たすエンティティを"政治的エンティティ"としてDXCCリストに掲載する。:

a) 国際連合加盟国であること。

b) 国際通信連合ITUによってコールサインプリフィクスを割り当てられていること。(ただし、本項は国際連合、国際民間航空機関(ICAO)等の国際起案には適応されない。これらのエンティティについては特別地域3a)および不適格地域4b)によって規定される) ITU事務局長によりプリフィックスが暫定的に割り当てられ、その後総会によって承認されない場合があるが、その際にはそのエンティティはDXCCリストから削除される。

c) エンティティに定住者があり、その地方行政府に統治され、本国より800km以上離れている場合。ここで "定住者があり" ”地方行政府に統治されている"とは、(a)米国国務省による "保護領およびt特別統治領”のリスト、または (b) 国連による非自治国リスト、に掲載されていることを言う。

上記の条件を満たすエンティティは上記の条件の発効日を以てDXCCリストに追加する。

本章の条件を満たすエンティティは以下の"地理的分離"の際の"親"エンティティとすることができる。本章以外によるエンティティは親エンティティとは見なすことができない。

2. 地理的分離によるエンティティ

地理的分離によるエンティティとは一の政治的エンティティが物理的に2以上に分離されているものを指す。本章において首都を有する部分を親エンティティと考える。物理的印分離されたその他の部分が以下のa)またはb)の条件を満たす場合に地理的分離によるエンティティであると考える。

a) 陸上部分
エンティティが親エンティティより100km以上別のDXCCエンティティにより分断されている場合新エンティティとする。内陸部の水域は陸上部として含むことができる。親、新エンティティを通過するすべての大圏コースにおいて2つのエンティティは100km以上分離されていなければならない。

b) 島嶼部分(水域による分離):
島嶼部分は以下のいずれかの条件によって新エンティティとする。

i) 親エンティティ(親エンティティに含まれる島嶼を含む)から350km以上はなれていること。新エンティティの首都の所在する島から親エンティティまでの距離を測るものとする。1つの親エンティティについて本項による新エンティティは1つに限るものとする。

ii) 親エンティティから350km以上離れていて、その親エンティティに関連する他のエンティティから800km以上離れていること。

iii) 親エンティティから別の陸地または島嶼によるDXCCエンティティによって分離されている場合。この場合の分離とは、親エンティティと新エンティティを通過するすべての大圏コースにおいて別のDXCCエンティティにより分離されていることを指す。本項においては親エンティティと新エンティティとの距離は問わない。本項によって2以上の新エンティティが定義される場合にはその新エンティティ同士は800km以上離れていなければならない。

(ARRL Webに掲載されている ARRL DXCC rules and criteria,による JH4RHF による日本語訳 2014-03-05)

 

上記2つのクライテリアはごらんの通りきれいに整理されましたが、以下の通り例外規定がたくさんあります。

3. 特別地域

以下の特別地域は新たなエンティティとしてはDXCCリストには加えない。これらの地域は親エンティティとしては考えないし、同様なエンティティを追加しない。

a) 電気通信に対する多大な貢献により、ジュネーブ国際通信連合 (4U1ITU) を特別エンティティとする。本項ではその他の国連機関を別エンティティとはしない。

b) 1959年12月1日署名、1961年6月23日発効の南極条約は南極管理の法的枠組みを形成した。本条約6条に規定の通り本条約は南緯60度以南の陸地および氷棚に適用される。この地域は南極条約ゾーンと呼ばれる。第4条の規定により加盟国は領土主権または領有に対する請求権を主張してはならない。また第10条の規定により加盟国は本条約の規定に反する活動をしてはならない。本条約の規定により、本条約が有効である限り南緯60度以南においてはいかなる新エンティティも追加されないこととする。

c) スプラトリー諸島は、複数国による領有権の衝突を考慮し、特別エンティティとする。この地域からの運用は占有するエンティティからの必要な免許可の受領を以て行うものとする。このような免許可を受けない運用(運用者により1S等のコールサインを割り当て、使用した場合など)はDXCCに無効とする。

d) 西サハラ(S0) の支配はモロッコと現地住民との間の懸案である。国連は当地に平和維持軍を派遣している。領有権問題が解決するまでRASDによる免許を受けた運用のみDXCCに有効とする。

e) 1998年当時のDXCCリストに掲載されたエンティティのうち本クライテリアに適合しないエンティティについては、リストに追加された際の状況に変更が生じない限りDXCCリストから削除しないものとする。状況が変化した場合には5条の規定により削除される。

(ARRL Webに掲載されている ARRL DXCC rules and criteria,による JH4RHF による日本語訳 2014-03-05)

 

科学者の端くれだったものとしては、このような"例外"条項はどうも好きになれません。クライテリアを新しくしたんだったら、どうしてDXCCリストもきれいにしないんでしょうか? Sable やWales, Aland が別エンティティの理由が説明できますか?

というわけで個人的に現行のすべてのDXCCエンティティについて現行のクライテリア1、2に当てはまるかどうか調べてみました。クライテリア3は例外条項なので考えないことにして、1,2に合致しないものは削除することにしてDXCCリストを整理して見ました。

以下が"グランドファーザー"エンティティを削除した、DXCCリストの提言です。いかがでしょうか?

例外規定を整理した DXCC リスト

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時間があれば今後、今のクライテリアに合致しないエンティティが当時どのように考えられてリストに追加されたかまとめてみたいと思います。結構驚きですよ。