WSJT-X 2.2.2について
2020年6月22日
WSJT-X 2.2.2は主にバグの修正が行われています。フィールドデーコンテストのFT8/FT4/MSK144でRACのPEセクションに対応しました(訳者注:Prince
Edward Island セクションについてはこちらを参考のこと)。
- フィールドデーコンテストに参加する局は急いでこのバージョンに更新してください。さもなければ、自分をPEセクションに設定できません。また、PEセクションから参加している局とナンバー交換ができません。
- FT8デコーダーがノーマルと高速モードで高速化されました。デコード件数を減らすことなくバージョン2.1.2のスピードに肉薄しています。特にRaspberry
Pi 3などの遅いシングルボードコンピュータなどで有効です。
- 翻訳ボランティアの貢献により、各国語のユーザーインターフェイスで、たくさんの改善が含まれます。
- DX Callフィールドが変更されたときDX Grid フィールドも自動的にクリアされます。グリッドスクエアを入力する前に、コールサインを入力することをお忘れなく。
WSJT-X 2.2.1について
2020年6月6日
WSJT-X v2.2.1はv2.2.0で見つかったバグの修正版です。
- 八重洲無線FT-991やFT-891を含むいくつかの無線機がHamlib経由で制御できない問題を修正。
- CALL3.TXTデータベースから6桁のグリッドロケーターを読み込めない問題を修正。
- コールサインハイライトのUDPリクエストに「+」が含まれると動作しない問題を修正。
- 非標準コールサインを使った場合、時間がたつと自分のコールサインのハッシュが認識できなくなる問題を修正。
- コールサインハイライトのUDPリクエストで、最後をハイライトのケースで最後以外もハイライトする問題を修正。同時に動作を高速化。
- v2.2.0-GAで、HamRadioDeluxe経由FT-920制御ができなくなった問題を修正。
- UDPメッセージプロトコル Status(1)の特別運用モードEnumeration値(WW Digi added, Fox, Hound)がドキュメントで誤っていたのを修正。W2JDB サム、指摘ありがとう。
- カタルーニャ語UIを更新。 TNX EA3W。
- イタリア語UIを追加。 TNX PY1ZRJ。
- スペイン語UIを更新。 TNX EA4AC。
WSJT-X 2.2.0について
2020年6月2日
WSJT-X 2.2.0はたくさんの新しい機能と特長を備えた改良版です。ここに主な項目を挙げますが、2.2.0-rc1、rc2、rc3のリリースノート、さらには2.2.0のユーザーガイドをご覧ください。
- FT4、FT8、JT4、JT65、WSPRのデコーダーの大幅な改良
- EU VHFコンテストにおける、Tx2とTx3メッセージの新しいフォーマット
- EU VHFコンテストが選択されると、Tx2とTx3メッセージ(シグナルレポート、シリアルナンバー、6桁のグリッドロケーター)では自局コールと相手局コールともハッシュコードを使います。この変更は従来のWSJT-Xと互換性がありません。したがって、EU
VHFコンテスト前にバージョン2.2.0へアップグレードしてください。
- アクセシビリティ
- キーボードショートカットを追加しました。Alt+RでRR73をTx4にセットします。Ctrl+RでRRRをTx4にセットします。
- 色弱のユーザーが見やすいように受信周波数を示す逆さまのゴールポストの色を暗い緑に変更しました。
- ユーザーインターフェースを多言語対応しました。現在、カタルーニャ語、スペイン語、日本語、中国語、香港語が使えます。そのほかの言語についても順次追加されていきます。
- 表示言語はOSから自動的に判断されて変化します。もし、英語のままがよければ --language=en というコマンドラインオプションをつけてください。
例: wsjtx.exe --language=en
- 多言語対応にご協力いただける方は [email protected] (https://groups.io/g/wsjtx-l10n)
に参加してください。
- 小さな改良とバグ修正
- 「Save None」は.wavファイルを保存しません。一時的にも保存しません。
- Settings |Advanced (設定|詳細)タブにWW Digi Contestモードを追加。
- FT4のコンテストモードでは、Tx4をRR73に固定。
- ステータスバーにいくつのメッセージをデコードしたか、その数を表示。
- コールサインハイライト用のUDPメッセージを強化。詳細については、https://tinyurl.com/y85nc3tg を参照してください。
- 無線機制御のためHamlibを使っていますが、たくさんのバグ修正と強化が行われました。感謝を表します。
WSJT-X 2.2.0-rc3について
2020年5月29日
WSJT-X 2.2.0-rc3は3回目のテスト版です。
rc2からの更新でもっとも大きな点は、シリアルポートのDTRやRTS信号を使って無線機のPTTを制御するHamlibコードとの連携修正です。その他、以下の改善とバグ修正が含まれています。
- カタルーニャ語の更新(EA3W)
- スペイン語ユーザーインターフェース
- 主言語設定が一致したときだけ言語設定を変更表示
- ユーザガイドの小さな修正
- FT8の「通常」と「高速」デコードにおいて同期閾値を大きく
- ワイドグラフ、エコーグラフ、高速グラフの表示を最小化し、そのあと、もとに戻したときの問題を修正
- VHF機能がオンになっていなくてもISCATBが開始されてしまうバグを修正
- WSPR出力設定コンボボックスのバグを修正
WSJT-X 2.2.0-rc2について
2020年5月25日
WSJT-X 2.2.0-rc2はWSJT-X 2.2.0の第二テスト版です。rc1で発見された以下のバグを修正しています。
- デコードシーケンス間で空行が入らないことがある。
- 「Start new period decoes at top」の誤動作。
- macOSでフォントを選択するとクラッシュする問題。
- macOSでバンド選択のマウス操作誤動作。
- hamlib ライブラリの誤動作(rigctldなど)。
- いくつかのリージョン設定で、WSJT-Xが起動しない。
- macOSで主画面が古いWindowsのように見える。
- refspec.datが無いとき、Ref Specを選ぶとクラッシュ。
- FT4で「MyCall」のハッシュを正しくデコードしない。
- ISCATモードでダブルクリックするとクラッシュすることがある。
これらの修正に加え、以下の改善を行っています。
- ユーザガイドのいくつかの図と説明を更新。
- ユーザガイドPDFバージョンの表示崩れを修正。
- サンプルファイルを追加。
- Wide Graphで緑のゴールポストの形と位置を改善。
- FT4とFT8でデコード誤りを大きく減少。
- NA VHFコンテストフォーマットでFT4を使えるよう改善。
- モードを変更しても、Hold Tx Frequencyの設定がリセットされぬよう修正。
- 英語以外の言語でユーザーインターフェースを表示できるよう変更。最初は、 Xavi Perez EA3Wと協力してカタルーニャ語を追加。次はスペイン語の予定。
- UDPを使ったハイライト動作の高速化。
最後に、
- 40m、30m、20mバンドでFT8の標準サブバンド3kHzが大変混雑してきました。QRMがきつくなると、リニアアンプを使うユーザーがおり、事態をさらに悪化させています。IARU、ARRL,そのほかのアマチュア無線団体で示されているバンドプランを鑑みて、WSJT-Xの運用周波数を考慮しています。
- 世界中からいただいたたくさんの提案をを考慮し、試しにそれらのバンドについて、第二の周波数候補を組み込みました。新しい推奨周波数は、7.071、10.133、14.071、50.310MHzです。Settings
| Frequenciesタブで、frequency tableを右クリックし、Resetを選択すると、これらの周波数がドロップダウンセレクタに現れます。もしくは、手動でこれらの周波数を追加してください。
- 従来の、40m、30m、20m、6m周波数がいっぱいのときは、ダイヤル周波数を3kHz下げてみてください。現状の実装では、バンドを変更すると、WSJT-Xはバンドごとに設定された最低周波数にダイアルをセットしますので、注意してください。
WSJT-X 2.2.0-rc1についてのお知らせ
皆さん、
WSJT-Xの開発計画について重要なお知らせです。WSJT-X 2.2.0の第一テスト版を5月10日に発表します。
WSJT-X 2.2.0-rc1 はベータ版ですが、たくさんの改良と新しい機能を提供します。
- 5つのモードでデコーディングを強化
- FT4: APデコーディングとマルチパスデコーディングのバグを修正。APデコーディングを拡張強化。
- FT8: デコーディングを3つのタイミングで行うよう変更。最初のデコーディングは11.8秒で開始され、およそ85%の信号を解析。今までより早い段階でメッセージが表示されるので、操作がやりやすくなるでしょう。2回目のデコーディングは13.5秒で開始、3回目は14.7秒で開始されます。混雑したバンドでは、今までより10%以上メッセージをデコードできるようになります。1回のデコード時間が0.2秒以下で行えるシステムでは、少しの改善となりますが、それでも今までより多くのメッセージをデコードできるはずです。
- JT4: 平均サーチとディープサーチを強化、できるだけほかのモードと同じように表示するよう変更。JT4はEMEなどの極端に弱い電波用です。
- JT65: 平均サーチとディープサーチを改良強化。これらの改良はVHF、UHFでもEMEに特に有効になります。
- WSPR: デコーダーの感度を大幅に強化。一度にたくさんの信号がある混雑したバンドでも、デコード誤りが少なくなります。デコーディングパス1とパス2では、非同期検波を用い、最大±4Hzまでのドリフトに追従します。パス3ではゼロドリフトを前提として同期検波を用います。 ビット毎に正規化を行い、弱い信号が強い信号から受ける影響を低減します。また、LF/MF帯での雷過渡現象の影響を低減します。これらの改良により、混雑したWSPRバンドでは10%から15%デコード率が向上するでしょう。
- EU VHF コンテストのTx2、Tx3 メッセージ
- EU VHF コンテストが選択されたとき、Tx2とTx3(これらはシグナルレポート、シリアルナンバー、6桁グリッドロケーターを含みます)では、両方のコールサインでハッシュコードを用います。この変更は、今までのWSJT-Xと互換ではありません。したがって、EU
VHF コンテスト参加局はすべてバージョン2.2.0へアップグレードしてください。
- 使いやすさ改善
- キーボードショートカットの追加。Alt+RでRR73をTx4にセット。Ctrl+RでRRRをセット。
- 色弱ユーザーのため、スペクトラム表示で受信周波数を示すゴールポストを上下反転し、濃い緑色に変更。
- 細かい変更とバグ修正
- 「Save None」を選択すると、一時的であっても受信音をファイルにセーブしません。
- Settings|AdvancedタブのSpecial operating activitiesにWW Digi Contestを追加。
- FT4のコンテストモードでは必ずRR73をTx4に使うよう設定。
- 最後の受信でデコードしたメッセージの数をステータスバーに表示。
WSJT-X 2.2.0-rc1は2020年5月10日から1ヵ月間ベータテストを行う予定です。正式リリースは6月1日を考えています。
さらにその先についてですが、LFとMFバンド用に2つの新しいモードを開発中です。1つ目はWSPRに似たモード、2つ目は2-way QSO用のモードです。両方とも、LDPCを使い、変調は4-GFSK、送受信は2分間隔です。WSPRに似たモードでは、最大感度-32dB、2-way
QSOモードでは-31dBに達します。
お楽しみに
Joe K1JT, Steve K9AN, Bill G4WJS