WSJT-X 2.3.0-rc4 アナウンス(2021年1月26日)
WSJT-X 2.3.0-rc4では、Hamlibのいくつかの重要な変更を確認し、対応しました。さらに以下の変更を加えました。
- wsprdコマンドラインツールは、何も指定がない場合、カレントフォルダのデータファイルを使うように変更。
- 各国語のユーザーインターフェイスを更新。
- CTY.DATファイルを更新。
WSJT-X 2.3.0-rc3 アナウンス(2021年1月6日)
WSJT-X 2.3.0-rc3では、改良FST4Wデコーダを搭載しました。そして、いくつかの不具合を修正しました。
- FST4W: FST4Wのデコーダを改良し、フェージングの大きい伝搬のデコーダ感度を上げ、誤ったデコードを減らしました。
FST4Wは50ビットのデータと24ビットのCRCから構成されます。この合計74ビットのデータが240ビットの符号にエンコードされます。受信された符号は2つの異なったデコーダにかけられます。すなわち、1)確率伝搬法デコーダ(BP)、2)統計量復号デコーダ(OSD)の2つです。OSDデコーダはCRCのすべて、あるいはそのいくつかのビットをメッセージ+CRCフィールドの一部としてではなく、パリティビットとして扱うことができます。したがって、OSDデコーダは受信したメッセージを(240,
50+Nc)コードとみなすことができます。ここで、Ncは0から24の整数値です。RC1とRC2では、符号を(240,64)として扱っていました(14ビットCRC)。RC3のOSDデコーダでは、受信したメッセージを、1)16ビットCRC(240,66)符号率0.308、2)CRCなしの(240,50)符号率0.208の二通りに扱ってデコードを試みます。CRCなしの(240,50)符号でのデコード結果は、BPデコーダでコールサインとグリッドが含まれていると判別されたときのみ表示されます。コールサインとグリッドはデータフォルダーにあるfst4w_calls.txtに記録されます。
- FT8: ウォータフォールをダブルクリックしてデコードしたときにクラッシュする問題を修正。
- FST4W: .c2ファイルをセーブしないように変更。
- FST4W: ノイズブランカの範囲を超えるような負のノイズブランカパーセンテージ設定をしたときに誤った処理をする問題を修正。
- fst4sim: 負のfspread値のローレンツフェージングシミュレーションを追加。
- ダークモードにおける色ハイライトの修正。
- QSO相手が違う局をエラーとして記録しないよう修正。
- UDPステータス(1)にTxメッセージを追加。
- 診断用コンフィギュレーションの例を追加。
- QSOログダイアログの年月日フィールドのフォーマットにシステムローカル情報を反映。
- オーディオ入力出力バッファを改善。
- wsprd: データディレクトリがない場合、注意をうながす。
- wsjtx_app_version: バージョン文字列を表示する新しいユーティリティを追加。
- モードを変更したとき間違った周波数を設定するバグを修正。
- Best S&Pを使うQSO初期化を修正。
- macOSのインストール手順を更新。
- Debian9の互換性を向上。
- ALL.TXTジャーナルにタイムスタンプが入らない問題を修正。
- hamlib\settings.jsonにPTTのみ動作させる構成を追加。
- 主画面のサイズとレイアウトを改良。
- LoTWのハイライト機能を使わない場合のOpenSSLライブラリ問題を修正。
- 2x1コールサインを非標準として扱ってしまう問題を修正。
- 各国語UIの更新。
WSJT-X 2.3.0-rc2 アナウンス(2020年11月16日)
WSJT-X 2.3.0-rc2 は、rc1で見つかった不具合を修正し、rc1の有効期限が切れる前にいくつかの新しい機能を追加するものです。
- オーディオサンプリングデータが欠落したというメッセージボックスを廃止。エラーなどはWSJT-Xのシステムログに記録するように変更。
- WSPRNet.orgにスポットされるFST4Wがサーバーでモードを判別できるように修正。WSPRNet.orgへのスポットがWSPRサブバンド範囲内に限定されるという条件を撤廃。
- トレース、デバッグ、警告、エラー、致命的エラーを内部記録する機能を追加。それら情報の詳細度、選別をユーザーがコンフィギュレーションファイルで指定できるように設定。デフォルトでは、情報、警告、エラーのみが記録される。記録データは使用ディスク容量を制限するため、自動的にラップアラウンドする。
- 不適切なマルチキャストIPアドレスを中継サーバーに使っているユーザーがいるため、デフォルトではマルチキャストUDPパケット行き先をループバックアドレスに指定するように変更。WSJT-X
UDPメッセージプロトコルを使うユーザーはWSJT-Xに正しいネットワークアドレスを設定し、サーバーアプリケーションには適切なマルチキャストグループアドレスを使うこと。もし、よくわからないようであれば、224.0.0.1(IPv6ではff02::1)を使うことを推奨。
WSJT-X 2.3.0-rc1 アナウンス(2020年9月28日)
WSJT-X 2.3.0の最初のベータ版がダウンロードできるようになりました。このベータ版によって特にLFとMFバンドに有効なふたつの新しいモードを実装しています。WSJT-X開発チームへフィードバックをお願いします。新しいモードは以下の通りです。
- FST4 - 双方向通信用。送受信切り替え時間は15秒から30分まで各種あり、2500Hzバンド幅に対して受信感度は-20.7dBから-43.2dBになります。
- FST4W - WSPRのような動作。送信時間は2分から30分まで各種あり、受信感度は-32.8dBから-44.8dBになります。
FST4-60 はJT9より約1.7dB感度が向上しています。これは、主に、マルチシンボルブロック検出の効果によるものです。APデコーディングを使うことで、最大4.7dB感度が向上します。JT9とFST4-60のドップラースプレッドに対するデコード限界の比較を次のグラフに示します。
https://physics.princeton.edu/pulsar/k1jt/jt9_vs_fst4.pdf
FST4W-120はWSPRより約1.4dB感度がよくなります。1回の送信時間が長くなるとそれに比例して感度が向上します。FST4Wのすべてのサブモードにおけるデコード率を加算性白色ガウス雑音をベースに計算したものを次のグラフに示します。
https://physics.princeton.edu/pulsar/k1jt/wspr_vs_fst4w.pdf
ここ数ヶ月にわたるテストの結果、FST4とFST4Wは2200mと630mバンドを使って頻繁に大陸間通信が可能であることを確認しています。さらなる詳細と運用のヒントは次の「FST4/FST4Wクイックスタートガイド」を参照してください。
https://physics.princeton.edu/pulsar/k1jt/FST4_Quick_Start.pdf
JT9とWSPRのユーザーは、より感度の高いFST4とFST4Wへ移行することを強く推奨します。
Windows、Linux、Macintoshのインストールパッケージ(Candidate release: WSJT-X 2.3.0-rc1)はこのページの下の方にあります。
SourceForgeサイトからダウンロードすることもできます。ただし、SourceForgeサイトが最新版に更新されるにはちょっと時間がかかるかもしれません。
WSJT-XはGNU General Public License (GPL) バージョン3に準拠します。たくさんのアマチュア無線家の協力のもと、開発されています。もし、われわれのソースコードを使う場合は、連絡してください。バグを発見したり、改善点に気づいた場合は、遅滞なくレポートしてください。
WSJT-X 2.3.0のβ版が楽しめますように。次のドキュメントに記載されている手順でバグレポートをお願いします。
http://www.physics.princeton.edu/pulsar/K1JT/wsjtx-doc/wsjtx-main-2.3.0-rc1.html#_bug_reports
-- 73 from Joe K1JT、 Steve K9AN、 Bill G4WJS