ダイアルアップルータ・ターミナルアタプタの再活用法

RTA50iの活用

YAMAHAの ISDNダイアルアップルータ RTA50iですが、この名機もADSL/光インターネット常時接続の普及した現在、その使命を終わろうとしています。現在の用途は10BASE-Tのハブとして使うくらいだと思います。ここでは、RTA50iの再活用の手段として、RS232C端子しかないコンピュータをLanに参加させ、外部ルーター経由でインターネットに接続してみます。

RTA50iの機能


YAMAHAのRTA5*iシリーズには、RS232C端子に接続したコンピュータを擬似的にLanに参加させるための方法があります。しかし、(当然と言えば当然ですが)インターネット接続は、「RS232C接続コンピュータ→ISDN回線」を考えているようで、YAMAHAのRTA50iのページには、「擬似Lan接続コンピュータ←→Lan接続コンピュータ」間のファイル共用の記述はありますが、「擬似Lan接続コンピュータ→RTA5*iシリーズ→Lan→外部ブロードバンドルータ→インターネット」接続のドキュメントは見あたりません。そのため、試行錯誤をくり返し、YAMAHAのサポートのご協力も得て、何とか擬似Lan接続コンピュータをインターネッ トに接続することができました。以下はその設定の記録です。(ちなみに、YAMAHAのドキュメント、サポートは驚異的に充実しています。素晴らしい!)

※擬似的にLanに参加させるとは
コンピュータにアナログモデムを接続し、電話回線を通じてプロバイダに接続すると同じ手順で、コンピュータを、RTA50iのRS232C端子につなぎ、RTA50iにPPP接続し、ネットワークに参加させるというものです。接続後は他のネットワーク上のコンピュータと同じように動作させることができます。
この時に使う電話番号は「****」を、接続用の「ユーザー名、パスワード」は何でもよい(無くてもよい)というものです。  


RTA50iの設定

RTA50iの動作はWeBブラウザ or Telnetで設定しますが、以下を各自のLanに合わせ書き直し、RTA50iのWeb設定ページにペ-ストして設定すれば簡単です。

ip lan address 192.168.200.2/24
ip lan secondary address 192.168.0.1/24
ip lan proxyarp on
ip route default gateway 192.168.200.1
dns server 192.168.200.1
dhcp service server
dhcp scope 1 192.168.2.200-192.168.2.254/24
analog supplementary-service pseudo call-waiting

RTA50iの設定の詳細

# Lanの IPアドレス(実質、RTA50i本体のIPアドレスを指定する。)
ip lan address 192.168.200.2/24

# Lanの Secondary IPアドレス(実質、RTA50iの設定を行うために使うIPアドレス。この例では、Webブラウザ or Telnetで 192.168.0.1 に接続してRTA50iの設定を行う。)
ip lan secondary address 192.168.0.1/24

ip lan proxyarp on

# 外部ルータのIPアドレス(デフォルトゲートウエイ)を指定する。
ip route default gateway 192.168.200.1

# 外部ルータのIPアドレスまたは、プロバイダのDNSを指定する。
dns server 192.168.200.1

# DHCPサーバーを動作させる。これが動いていないとPPP接続された PCに IPアドレスが割り当てられません。
dhcp service server

# DHCPサーバーがクライアントPCに割り当てる IPアドレス(ここでは 192.168.200.200~192.168.200.254)
dhcp scope 1 192.168.200.200-192.168.200.254/24

analog supplementary-service pseudo call-waiting

外部ルータが、[192.168.200.0/24]上に無く、[192.168.0.0/24]上に存在する場合は、[192.168.200.0/24]宛のパケットが、[192.168.0.1/24]宛 に送出されるような経路を外部ルータ側で設定します。

クライアントPCの設定

DOSマシン:IBM互換機では DOSPPP等のPPP接続ソフトを使い、RTA50iの RS232C端子にPPP接続する。PC9801ではTeenを使ってもOKです。

Windowsマシン:インターネット接続設定メニューでPPP設定し、RTA50iのRS232C端子にPPP接続する。

内線通話機能の活用

普通、ダイアルアップルーターやターミナルアタプタ(以下、両方をまとめてTAと記述)は、ISND回線に接続しなくても、各内線アナログポート(以下、内線ポートと略)に電話機をつなぎ、各内線ポートを呼び出すことにより内線通話ができます。電話機とTAを用意することで簡単にインターホン代わりに使えます。
用意する物
(1)TA…複数の内線アナログポートが付いたもの(普通は付いている)

RTA50iでは3つの内線ポートが、NEC製TA ATERMIT21Lでは2回線の内線ポートが付いています。

(2)電話機 2台 or 3台

(3)TAと電話機をつなぐケーブル 2本 or 3本

内線電話のかけ方
外線電話をかけるやり方と同じですが、内線電話のコマンドはメーカーによって多少違います。

YAMAHAのRTA50iでは、
*ポート番号 です。
例 内線ポート1につないだ電話機から、内線ポート3の電話機にかけるには、*3 をダイアルします。

NECのATERMシリーズでは、
#*ポート番号 です。
例 内線ポート1(Aポート)につないだ電話機から、内線ポート2(Bポート)の電話機にかけるには、#*2 をダイアルします。(ダイアルの5秒(初期値)後に呼び出しを始める。すぐ呼び出させるためには、ダイアル後続けてを押す。)

注意 今どきの電話機は切り替えにより、トーン・パルスどちらの方法でもダイアルすることが可能ですが、インターホン代わりに使うときはトーンに切り替えて使って下さい。(パルスでは「*」や「#」が送出できません。また、そもそもTAはトーンで使うもののようです…多分)

リモートアクセスサーバ構築

自宅からシャックまでを100BASE-Tや10BASE-5のケーブルで結んでインターネットに接続するより、インターホンなどで使われる2芯ケーブルで結んだ方が取り回しが楽であろうということで、RASサーバ構築・接続実験をしました。(主な用途はTELNETによるパケットクラスター接続なのでアナログモデムを使っても速度は問題にならない。) 室内実験ではダイアルアップルータ(ターミナルアタプタ)とモデム間は200mの導線で結んでも着信するのですが、屋外実験では150m位でも電灯線のノイズでも受けるのか着信してくれません。以上のことと、無線LANを使うことで目的は果たせたためRASサーバは室内実験・動作検証のみで、接続用としては実用化はしませんでした。
以下、参考にしたRASサーバ構築のための有用なページです。
(1)Windows2000でRAS(リモートアクセスサーバ)環境を構築するためのページ 
(2)Windows98によるリモートアクセスサーバの構築 (このページにあるようにWin98は設定項目が少ないです。私はWin98によるRASサーバは上手く動かせませんでした。)
ここで使うダイアルアップルータですが、RTA50iを使う場合はコマンドで通話音量を最大にしておく必要があるようです。私はNEC Aterm IT21Lというターミナルアタプタを使いましたが問題なく内線通話ができ使うことができましたが、機種によってはISDN接続していないと内線通話できないものもあるようです。そのような機種は疑似電話交換機としては使うことができません。NEC製のターミナルアタプタであれば問題なく使えると思われます。このことについては、上記(1)にも記述されています。

わくわくステーション

 「わくわくステーション」を動かすために昔実験したリモートアクセスサーバを動かそうかと考えたり、RTA50iのRS232C接続を試したのでした。しかし、「わくわくステーション」は動きません。「わくわくステーション」の実験は中断中。

無線LAN

今時の無線LANイーサーネットコンバータはルータ(?)とHUBが付いていて複数のPCがつなげるようですが、ちょっと前の無線LANイーサーネットコンバータは一台のPCしかつなぐことができません。しかし、PCとの間にルータを入れることで複数のPCを接続することができます。(このことはどのページにも書かれていないようです。この程度のことは常識だからなのかな?)