AC Power Meter
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電流トランスを使った通過型AC電力計

家の中の節電を徹底して行おうとすると、家電機器の待機電力が無視できません。そこで、家電機器の消費電力を測定する装置を作りました。電力計と言っても実はACコードに流れている交流電流を測って100Vをかけてやれば電力になります。一般に、電圧を測るのは無造作にやれますが、電流を測るのは厄介です。電流の流れている回路の一部を切断して、そこに電流計を接続しなければならないからです。

そこで安価なラジケータ(もっとも、最近は品薄で入手困難なようです)と電流トランスで同じ機能を持つ物を作ってみました。仕事で大阪に行ったときに、日本橋のジャンク屋さんで見つけたものです。ひとつ数百円だったと思います。がんばれば自作も可能かもしれません。

電流トランスと言っても原理的には普通のトランスと同じような物です。「ロの字」形の鉄コアにエナメル線が3000回巻いてあります。これが二次側巻き線です。一次側はもともとは何も巻いてありません。下図にあるようにACプラグからコンセントにつながる線の一方をこの鉄コアに2回巻いて一時側巻き線とします。一次側と二次側に流れる電流の比は巻き数の逆比になります。二次側の負荷抵抗が大きいと直線性が悪くなります。順方向電圧降下の小さいゲルマニウムダイオードで半波整流してコンデンサCで平滑して100μAのラジケータ(内部抵抗1556Ω)で直流電流を測ります。D2は半波整流の逆向きの電流を逃がしてやるもので、これがないと正しい値を示しません。スイッチはフルスケールレンジを100Wと1000Wに切りかえるためのものです。下図に示すように、交流の電流実効値と半波整流後に平滑した直流電流の関係を計算して、分流抵抗R1とR2の値を計算してやります。半端な数値の抵抗ですので、手持ちの抵抗を何本か組み合わせるか、半固定抵抗を使います。実際に、100Wの白熱電球や、500Wの電気ストーブなどあらかじめ消費電力のわかっている家電機器をつないでやると正しい値を示しました。

これで、家にあるいろんなものを測りました。たとえばパソコン本体は作動時約80W、待機(スタンバイ)時約35W、液晶ディスプレイは動作時約35W、待機時約5Wでした。これがCRTディスプレイになると、ぐっと消費電力は増えますが家にはないので測れません。それから、各種ACアダプタは物にもよるでしょうが、意外と損失は少ないようで、コンセントにささっていてDC側は何も使わなければ1W以下(というか、針はほとんどふれません)でした。

さて、我が家の場合パソコンを待機状態で夜中10時間つけっぱなしにすると、
(35W + 5W)×10h = 400Wh となります。1kWhがおよそ22円ですから、一晩当たり約9円で一か月で270円の無駄となります。最近は夜はパソコンの電源を切ることにしました。

注意:電流トランスのニ次側を開放したまま一次側に大電流を流すと電流トランスが破損することがあります。気をつけてください。これはふつうの電圧トランスが二次側を短絡すると破損するのとは丁度逆の現象です。JA9CZJさんからご指摘をいただきました。感謝。

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AC Power Meter

If you would like to save electric energy, you first of all need to measure the AC current flowing through your appliances. AC line voltage times the measured current value gives the power. Build an AC power meter with a current transformer as shown in the schematic given above.

The current transformer is not much different from an ordinary voltage transformer, but a primary wire is usually absent around the core. Either one of wires connecting an AC plug and an outlet wound around the core(two turns, in the present case) makes the primary coil. The current ratio flowing in the primary and the secondary wires is inversely proportional to the turns ratio of the transformer. The secondary AC current is rectified and smoothed by D1 and C. R1 and R2 are shunt resistors to give a correct full scale of the meter. You may need to combine a few standard value resistors to make the odd-valued R1 and R2. For the necessary calculations, refer to the equations given above. D2 is used to bypass the opposite-phase current.

I used the AC power meter to measure my PC and LCD display monitor. They are approximately 80W and 35W when in operation, and 35W and 5W in standby mode, respectively. I decided to switch off the both during the night for the energy saving.

N.B.: The current transformer may be broken if the secondary circuit is open with a high current on the primary wire. It is contrary to the common sense that a voltage transformer fires when the secondary is short-circuitted. Thanks to JA9CZJ for this comment.


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MINOWA, Makoto
7N3WVM
Last revised 2001-01-02.