ハイブリッドを使った2分配器

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2台のTS-520の受信感度やSメーターの振れの比較をおこないたかったのですが、いちいちアンテナを繋ぎかえるのはメンドクサイことこの上ないため、アンテナの信号を2分配する2分配器をトロイダルコアを使ったハイブリッドで作りました。

基本的にはアンテナ入力の50Ωを25Ωに変換するインピーダンス変換器と、25Ωの入力を50Ω二つに分配するハイブリッドからなります。利用したフェライトコアはFT50#77を2つ、その他の部品は100Ωの抵抗1つと、M型のメスコネクタが3つです。

この2分配器の肝心な部分であるハイブリッドの基本構成は「トロイダルコア活用百科」(CQ出版社)という本に載っていますが、実際の作り方は書いてありません。ここに参考になる記述があります。




ハイブリッドの部分はFT50#77にバイファイラー巻きで10回、インピーダンス変換器の部分には同じくFT50#776回巻きでタップをとった9回巻きとします。出力の2端子を100Ωの抵抗で結ぶことで、片方がオープンでもショートでももう片方側からは50Ωに見えるようになっています。

この構成で出口のアイソレーションは(さっきの文献を見ると)20dB弱程度はとれるようです。ただし2分配するため、それぞれの出力レベルは入力から3dB(電力で半分)落ちます。




この写真はとりあえずトロイダルコアを巻いてバラックで組み立ててみたものです。アンテナ入力にダミーロードを繋ぎ、7MHz帯で送信機の出力を1Wほどに絞ってSWR計でSWRを測ったところ、もう片側がオープンでも50Ωで終端した場合でもSWRは1.6〜1.7程度です。ちょっと高いような気がしたのですが、その後インピーダンス変換器の接続を逆にしていたことに気付きました。正しく結線して測りなおすと、3.5,7MHzで1.1、21MHzで1.6、28MHzで2.0でした。高い周波数での劣化が気になりますが、基本的にはOKです。

その後バラックで組み立てた2分配器を金属ケースに入れました。最終的な特性は次のようになりました。




(2001-11-24加筆)

このハイブリッドですが、もう少し詳しく考えてみました。

まず、出力の一方に送信機をつなぎ、入力側にパワーメータをつなぎます。このときはもう一方の出口はオープンでもダミーロードをつないでもパワーメータの表示は1/2、送信機と出口との間につないだSWRメータのSWR値は1.0です。この結果から、出力側から見たインピーダンスはもう一方が終端されていても、オープンでも50Ωに見え、入力端には3dB落ちで出力されることがわかります。

次に、入力に送信機をつなぎ、出力の一方をパワーメータにつなぎ、もう一方をダミーロードで終端すると、矢張りパワーメータの表示は送信電力の1/2になります。送信機と入力端との間のSWR計は1.0を示します。ところが、もう一方の出力をオープンにすると、SWRが3.0になります。つまり入力端から見るとインピーダンスが(たぶん)150Ωになってしまいます。これはなんだか変な気がしますが、配線を何度確認しても同じです。なんか重大な勘違いをしているのかなぁ……。まあいいっか。


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