回路図を図1に示します.
この回路はWB3GCKがG3YCCの回路を元にモディファイしたものを,さらに私がトロイダルコアのサイズとインダクタの巻き数について再計算したものです.
またCraig版では出力を平衡でも不平衡でも出せるようにしてありましたが,ここでは省略して不平衡のみにしています.
左半分はSWRブリッジで,整合がとれていないとLEDが点灯するようになっています(つまり整合がとれるとLEDは消える).
LEDは赤系統の高輝度タイプがいいでしょう.
私はパーツフォレストからおまけでもらった高輝度オレンジ色を用いています.
右半分のチューナ部では,より広範囲に整合させるため,VC1を単連,2連並列,2連並列+440pF固定とスイッチS2で切り換えるようにしています.
私は220[pF]/50[WV]の2並列で440[pF]を作りましたが,これは手持ちの50[WV]セラミックでは電流容量が不安だったためです.
シルバードマイカや高耐圧セラミックが利用できるような場合は470[pF]1個ですませて良いでしょう.
図2に実装状況を示します.
ケースはタカチのMB-2(100×70×50[mm])を用いました.2つあるバリコンのうち,VC1に関しては軸がケースに接触しないように加工して下さい.
コイルはFrankのT-130-2やCraigのT-200-6より一回り小さいT-106-6を用いています.
巻線には0.6[mm]径の被覆単線を用いましたが,UEWやPEWを用いる場合でも2次側(出力側)は被覆線にした方が無難です.
2次巻線は1次巻線のコールドエンド側に,1次巻線の線間に巻くようにしています.
スイッチは双極双投(DPDT: 2回路2接点 or 6P)ですが,容量切換に用いる方(S2)はセンターオフのものを用います.
バリコンはミズホ通信から発売されていた等容量のAM用2連ポリバリコン(340pF×2)を用いましたが,現在では入手が困難かもしれません.ミズホ通信のWEBサイトを見ても,真空管ラジオ用のコイル等はあってもポリバリコンはもう掲載されていませんので,流通在庫を探すしか入手方法はないかもしれません.
ミツミのカタログにはこの種のバリコンがまだ掲載されているようですが,プリント基板用の端子出しになっていますので,ケース実装には工夫が必要です.
ケースに直接留めることのできない部品(トロイダルコア及びSWRブリッジ周辺)は立型ラグ板を用いて配線しました.
信号源としてファンクションジェネレータから100[mW](20[dBm])の正弦波を加え,数種類の負荷インピーダンスに対して試験した結果を表1に示します.
3.5[MHz]で低抵抗かつ大きな容量性リアクタンスの際に完全消灯させることはできませんでしたが,それ以外のケースでは整合をとってSWRブリッジのLEDを完全消灯させることができました.
ただしリアクタンス成分が大きい場合には,Craigが"Narrow"と形容しているように,同調はかなりクリティカルになります.
なお,1.8/1.9MHzはコイルのインダクタンスが不足するためほぼ全反射に近い状態で一切整合をとることはできませんでした.
基本的には,3.5〜28[MHz]の各バンドで,10〜300[Ω]のインピーダンスを整合させることができると考えて良さそうです.
もっと広い負荷範囲で整合させることも可能かもしれませんが,それについては試験しておりませんので,皆さんご自身でお確かめ下さい.
Load | Band | 3.5 | 7 | 10 | 14 | 18 | 21 | 24 | 28 |
10[Ω] | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
10[Ω]+47[pF] | △ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
10[Ω]//47[pF] | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
10[Ω]+4.7[μH] | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
10[Ω]//4.7[μH] | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
300[Ω] | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
300[Ω]+47[pF} | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
300[Ω]//47[pF] | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
300[Ω]+4.7[μH] | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
300[Ω]//4.7[μH] | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |