A Tiny Z-match Tuner

Z-match vs MFJ-945E

Cosy MUTO, JH5ESM
6 July, 2005

English


Introduction

2005年の5月,6月に神戸ポートアイランド,伊香保温泉への移動運用を行いましたが,その際,上の写真左にあるMFJ-945Eを持っていきました.
このチューナは一般的な市販無線機用としては確かにコンパクトなのですが,私の7T95217R3357Rに比べるとはるかに大きく,移動運用器材を収めるデイバッグのかなりの部分を占めています.
QRP機に応じたコンパクトなチューナとしてZ-matchチューナには以前から注目していたのですが,このほどようやく製作しました.


回路と製作

回路図を図1に示します.
この回路はWB3GCKがG3YCCの回路を元にモディファイしたものを,さらに私がトロイダルコアのサイズとインダクタの巻き数について再計算したものです.
またCraig版では出力を平衡でも不平衡でも出せるようにしてありましたが,ここでは省略して不平衡のみにしています.

Z-match schematic
図1 Z-matchチューナ回路図(図をクリックして拡大.PDFファイルはここ.)

左半分はSWRブリッジで,整合がとれていないとLEDが点灯するようになっています(つまり整合がとれるとLEDは消える).
LEDは赤系統の高輝度タイプがいいでしょう.
私はパーツフォレストからおまけでもらった高輝度オレンジ色を用いています.

右半分のチューナ部では,より広範囲に整合させるため,VC1を単連,2連並列,2連並列+440pF固定とスイッチS2で切り換えるようにしています.
私は220[pF]/50[WV]の2並列で440[pF]を作りましたが,これは手持ちの50[WV]セラミックでは電流容量が不安だったためです. シルバードマイカや高耐圧セラミックが利用できるような場合は470[pF]1個ですませて良いでしょう.

図2に実装状況を示します.
ケースはタカチのMB-2(100×70×50[mm])を用いました.2つあるバリコンのうち,VC1に関しては軸がケースに接触しないように加工して下さい.

コイルはFrankのT-130-2やCraigのT-200-6より一回り小さいT-106-6を用いています.
巻線には0.6[mm]径の被覆単線を用いましたが,UEWやPEWを用いる場合でも2次側(出力側)は被覆線にした方が無難です.
2次巻線は1次巻線のコールドエンド側に,1次巻線の線間に巻くようにしています.

スイッチは双極双投(DPDT: 2回路2接点 or 6P)ですが,容量切換に用いる方(S2)はセンターオフのものを用います.

バリコンはミズホ通信から発売されていた等容量のAM用2連ポリバリコン(340pF×2)を用いましたが,現在では入手が困難かもしれません.ミズホ通信のWEBサイトを見ても,真空管ラジオ用のコイル等はあってもポリバリコンはもう掲載されていませんので,流通在庫を探すしか入手方法はないかもしれません.
ミツミのカタログにはこの種のバリコンがまだ掲載されているようですが,プリント基板用の端子出しになっていますので,ケース実装には工夫が必要です.

ケースに直接留めることのできない部品(トロイダルコア及びSWRブリッジ周辺)は立型ラグ板を用いて配線しました.

図2 製作したZ-matchチューナ(画像をクリックして拡大)
fornt view rear view inner view
(a) 正面外観 (b) 背面外観 (c) 内部

テスト結果

信号源としてファンクションジェネレータから100[mW](20[dBm])の正弦波を加え,数種類の負荷インピーダンスに対して試験した結果を表1に示します.

3.5[MHz]で低抵抗かつ大きな容量性リアクタンスの際に完全消灯させることはできませんでしたが,それ以外のケースでは整合をとってSWRブリッジのLEDを完全消灯させることができました.
ただしリアクタンス成分が大きい場合には,Craigが"Narrow"と形容しているように,同調はかなりクリティカルになります.
なお,1.8/1.9MHzはコイルのインダクタンスが不足するためほぼ全反射に近い状態で一切整合をとることはできませんでした.

基本的には,3.5〜28[MHz]の各バンドで,10〜300[Ω]のインピーダンスを整合させることができると考えて良さそうです.
もっと広い負荷範囲で整合させることも可能かもしれませんが,それについては試験しておりませんので,皆さんご自身でお確かめ下さい.

表1  整合範囲
Load  |  Band 3.5 7 10 14 18 21 24 28
10[Ω]
10[Ω]+47[pF]
10[Ω]//47[pF]
10[Ω]+4.7[μH]
10[Ω]//4.7[μH]
300[Ω]
300[Ω]+47[pF}
300[Ω]//47[pF]
300[Ω]+4.7[μH]
300[Ω]//4.7[μH]
凡例 ○:完全消灯      
   △:完全消灯できなかった


References

  1. Craig LaBarge, WB3GCK, "Homebrew Z-Macth Tuner," http://www.qsl.net/wb3gck/zmatch.htm
  2. Frank, G3YCC (Silent Key) "A Single Coil Z-Match," http://www.g3ycc.karoo.net/zmatch.htm or  memorial site http://www.zerobeat.net/g3ycc/zmatch.htm maintained by K3HRN.

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