「万葉の森」が建設されたここ万力公園は、かつて笛吹川の反乱によって村人を悩まし続けた水難所でした。「万力」という地名は「万人の力を合わせたような強固な堤を築けるように」との願いをこめて名付けられたと伝えられ、この公園がふるさとの歴史と深い関わり持っていることがわかります。村を洪水から守ろうとした祖先たちの力の結晶が今日ある万力の自然林を育てました。
 「万葉の森」は、笛吹川の清流とこの恵まれた自然林を守り生かしながら万葉集に登場する動植物を集めました。万葉の歌とこれらの動植物を通して、万葉の世界に触れることのできる憩いの場としてご利用いただければ幸いです。
 万葉に出てくる植物は、どれもつつましやかで、ことさら自分の存在を主張するような花をつけるものは見あたりません。そんな清楚な美しさをたたえた万葉の森ですから、それなりの楽しみ方をすることをおすすめします。日本古来の日本人独特の感性を、公園内にちばめられた二十七基の歌碑に刻まれた歌とともに想いおこしてみられてはいかがでしょうか。「春の道」「夏の道」「秋の道」と季節の趣きをたたえた公園内のルートが万葉の心へとご案内いたします。

春の道 夏の道 秋の道
さくら ゆり はぎ
あじさい はちす をばな
あしび いちし ふじ
うのはな ほととぎす なでしこ
うぐいす しか