Jackon Harbor Press PK-2 キーヤの紹介

またまたスゴイ、PICの新キーヤがあらわれた

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評価中のPK-2、パドルはG4ZPYのQRPパドル


マイクロチップテクノロジの8PinのPICによるエレキー/メッセージキーといえば、EmbeddedのTiCKシリーズが有名です。TiCKシリーズもTicK-3(SuperTicK)でここにきわまれりという印象を受けていました。しかし今度は別の会社からこれを上回る機能と操作性をもったキーヤーが出てしまいました。それがJackon Harbor PressのPK-2です。このページではTiCKを経験した方向けにPK-2の説明を行います。



主な特徴

可変速VRポッド接続可能!
TiCKでカーチス8044系に唯一劣っていたのが、このVRポッドによる可変速でした。CWオペレータは自分のCQに対して相手がQRSやQRQで応答してきた場合、しばしば瞬時にスピードを追随したいことがあります。またBAD CONDXやニューカマー局とQSO時では、QTH,QRAなど重要部分をQRSしてあげたいことがあります。TiCKシリーズではスピード変更コマンドのワンアクションがあるので、事実上これが不可能でした。PK-2ならキーイングしながらVRポッドで合わせられます。

●メッセージ2本とファンクション多数、、、なのに安い!
メッセージは53キャラクタで1,2あり、それとは別に定型CQはコールサインを登録するだけで送出してくれます。電源バックアップできないPICで毎度CQをメッセージに入れるのは面倒くさいです。しかもえてして入力ミスをしてイライラするものですが、コールを一回だけ登録すれば定型CQが送信できます。事実上メッセージが3本あるのと同じです。 コンテスト時のビーコン機能や、バグキー機能もあり、これで$7は素晴らしい価格設定です。$15のTiCKが「かすんで見えます(ゴネンネEmbedded)。

QRPer同志、これぞ我らがQRPチップだ ^_^
定型CQにはQRPオプションでコールサイン”/QRP”が自動的に付加されます。

●TiCKアッパーコンパチブル
PICとしては12C509を使っているTiCKに対して、PK-2では12C672を使っています。VRポッド部分を除いてピンコンパチです。VRポッドの部分はTiCKではNCです。安心してください、VRポッドが無くてもスピード可変もできます。

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全然違うコマンド体系
TiCKから移って最初ちょっとだけ戸惑いそうな部分です。TiCKではボタンひとつで、全てのコマンドメニューをまわるので、なにかとたいへんでした。特にTiCK-2以降ではメニュー内にアドミン(ADMIN)モードができ、さらに深い階層に行く構造になりましたので、ボタンリリースのタイミングを要求されました。PK-2ではコマンドメニューの体系がボタン(呼称;メモリーSW)とバドルの組み合わせになりました。よく考えればパドルだってメニュー用プッシュSWじゃん、という発想がここにあります。


表1:PK-2のメモリーSW操作の組み合わせ
組み合わせ コマンド
(ちょい押し)
メニューへ入って行く
(長押し、2秒)
メモリーSW メッセージ1送信 Aメニュー(ビーコン、メッセージ1等)
メモリーSW+パドルドット(・) WPMアナウンス Bメニュー(スピード設定等)
メモリーSW+パドルダッシュ(―) 定型CQ送信 Cメニュー(コールサイン登録等)
メモリーSW+パドルドット+パドルダッシュ メッセージ2送信 Dメニュー(メッセージ2、その他設定)

これでメニューへの進入が4つのバリエーションとなり、体系的にすっきりと分類され、アクセスが簡単になったのです。実際にはパドルを組み合わせた指令ではメモリーSWを先に押しておいて、ちょいとパドルを触るといったかんじです。そうしてもこれが苦手だという人がいればダイオードアレイを組む方法も提示されていますが、使いこなすのがスマートです。メッセージ2の再生はTiCKより簡単ですので活用できます。以下ではA,B,C,Dにカテゴリーを分けて詳細な説明を行います。


詳細な機能説明
TiCKピンコンパチですのでハードウェア結線は省略します。TiCKでNCとなっているPin2に100KBのVRポッドを付けるだけです(シリースに1Kをいれる)。ここから先では上記表に分類したA,B,C,Dメニューについて説明し、どういった機能設定できるのかご理解いただこうと思います。一旦各メニューに入るとメニューの中では、次の項目にコマンドボタンの軽いワンプッシュで移ります。TiCKのように欲しいコマンドが流れていってしまうことはありません。機能が選択された段階でメニュー状態から抜けます。さあ電源を入れて見ましょう、最初にPK-2は ”FB”(・・―・ ―・・・) と返事します。


Aメニュー(ビーコン、メッセージ1等) メモリーSW長押し

BE BEcon mode ドットを押すとビーコン送出が始まります
M? Message 1 ? メッセージ1を入力します。終わりはコマンドボタンのワンプッシュ
KD Key Down interval ドットを押しビーコンインターバルでのキーダウンです。
BA Becon Alternate 1/2 ビーコンされるメッセージを1/2スイッチします。デフォルトで1
D Delay in becon interval ビーコン間は約2.5秒ですがこれを増やすことが出来ます

解説:コマンドボタンだけで入れるメニューAの近いところには、コンテストで有用なビーコンのコマンドがあります。ドット(・)ですぐにスタートします。PK-2ではドット(・)がON,ダッシュ(−)がOFFというふうに読み替えられそうです。そのつぎにはやや頻度の高い、メッセージ1の登録があります。そのあと3項目はビーコンのアトリビュート項目です。ビーコン間のキーダウンはFOXハントなどを意図しているのでしょうか、使うとインターバルにキーダウンされるので業務海岸局のCQ呼び出しみたいです。その次はビーコンメモリの選択。最後の項目はインターバル調整です。コンテストでは2.5秒のインターバルはちょうど良いですが、通常のCQではちょっとせっかちに聞こえます、そんなときに使えばよいのでしょう。


Bメニュー(スピード設定等) メモリーSW長押し+パドルドット

S Speed ポッドが無いときはデフォルト16WPMから変更するのに使います、パドルで調整して決定
P Pod or paddle 通常ポッドで行われる速度可変を、パドルに移すときに使います
C Calibration ポッドでのスピードはRC定数で決まっています。再低速度を5WPMに較正します。
RC Restore Calibration 上記設定が失敗したときなどのために復旧するコマンドです。

解説:VRポッドが活用されていればあまり使わない速度関係がBメニューに集められています。Sコマンドでの速度設定はTiCKに似たものですが、TiCKではドット=減速、ダッシュ=加速で、Sコマンド進入後逆パドルのタッチでコマンドから出てしまいます。これに対しPK-2では、いずれのパドルでも最高速と再低速の間がループされています。じっくり最適速度を吟味メモリーSWで決めます。 Cコマンドは、どのようなVRが外付けされるか不明な状況で、ユーザーにVRを最低速度に設定させ、PICは内部クロックから生成される符号速度を5WPMとするのキャリブレーションを行おうとするものです。副次的効果として電信級を取った頃を思い出すことができます。


Cメニュー(コールサイン登録等)  メモリーSW長押し+パドルダッシュ

TU Tune Mode TUNEモードに入ります
your call ? 貴局のコールサインを設定
CS CQ Select 定型CQでパターン 3×3(・) または 4×2(―)を選択します
Q QRPer (・)を押せばQRPerになります。リニア使用禁止!

解説:このモードではまずTUなどと来ます。TUNEモードはTiCKと同じ。さてコールサイン登録など、PK-2オリジナルの部分です。ここでコールサイン(最大10文字)を設定することにより、CSで選ばれた定型CQパターンに挿入されます。もはやCQメッセージを作る必要はないのです。
・パターン3×3: CQ CQ CQ DE 8J1VLP 8J1VLP 8J1VLP K
・パターン4×2: CQ CQ CQ CQ DE 8J1VLP 8J1VLP K
そしてQRPer宣言をすると、
例えばパターン4×2: CQ CQ CQ CQ DE 8J1VLP 8J1VLP/QRP K
と変わります.嬉しいじゃあ有りませんか、この機能。

Dメニュー(メッセージ2、その他設定) メモリーSW長押し+パドルドット+パドルダッシュ

T? message Two ? メッセージ2を入力します。終わりはコマンドボタンのワンプッシュ
PR PRactice 無線機の方はキーイングされない練習モード
B Bug & straight バグキーモード、長点側は立て振れとしても使えます
L Live recording メッセージ入力時に外部キーイングします。
A Iambic A or B アイアンビックの設定AモードorBモード
R Reverse paddle パドルの入れ替え、右手左手打ちなどで
ST Side Tone off サイドトーンオフ

解説:Dメニューは雑多な設定がいろいろ成されるところです。メッセージ2はDメニューで最初に出てきます。慣れるとすぐ項目が出てくるメッセージ2のほうが入力しやすいです。PR練習モードは目立ちませんが実にFBなものです。TiCKでは一旦機器に組込むと、いやでもキーイングされるため単体で試し打ちできませんでした。Bバグキーモードは、私バグキー苦手なのでよくわかりませんが、やっぱり打ちにくいので(Hi)、かなり忠実にバグキーの難しさを再現しているようです。これでまともに打てるようになってから高いメカニカルのバグキーを買ったらいいかもしれません。Bモードでは長点側は立て振れとして使えます。Lコマンドの存在意義はよくわかりません、取説にもあると役立つことがあるかも、程度です。アイアンビック動作は完璧です。R、STは必要になるケースがあるでしょう。

メッセージ記録活用で便利な特殊CW符号群
メッセージ機能は単なるメモリーキーヤーではなく、使い勝手が良いようにいくつかの埋め込み符号コマンドが準備されています。


まとめ・考察

●今後PIC系キーヤーの選び方
これから導入を検討する方は、間違い無くPK−2をお勧めします。自作リグにもプッシュボタンと、可変VRの穴あけを忘れないようにしてください。価格競争力のあるTiCK-1はまだ買う価値があります。TiCKでもそうですが、キットの基板にお金を払うくらいなら2個買って、FCZ基板の上に組むことをお勧めします。PK-2ではSOP版が無いので、小型にインテグレーションする場合にはTiCKに分があります。

●TiCKからのアップグレード
ジャクソンハーバーのWWWでは、PK-2のいちばんの売りは、外付けVRポッドのように書かれています。しかし、使ってみるとむしろ進んだメニュー体系とメッセージ機能もそれと同等以上に素晴らしいことがわかりました。既存のTiCK1をTiCK3にグレードアップするなら、その値段で2個
買えるPK-2をおすすめいたします。


●共同購入の提案
とっても安い$7のPK-2ですが、ディスクリートで1個だけ購入するには送料の$5、為替作成の500円がかかってしまい非効率です。共同購入することにより1ヶあたりの諸経費を低く押さえることが出来ます.QRPプラザやニフティなどで共同購入者を募ったり,ローカル各局と一緒に購入したりすることをお勧め致します.

 なお,QRPプラザで募った第一回共同購入は終了させていただきます.