クワッドレチャ・ハイブリッドなどについてのまとめ

4-square等に使われるクワッドレチャ・ハイブリッド等についてまとめました。制作途中version。

集中定数回路によるもの
特徴とはたらき
  • 各ポートの関係は対称的で、入力・出力の区別はない。
  • 1つのポートに注目すると、その対角線上のポートには出力は現れない。(アイソレーションがある。) 隣り合ったポートには信号の伝達がある。
  • ポート1に信号を入力すると、電力はポート2と3に現れる。
  • ポート4には何の出力も現れない。ポート4に接続するRは50Ω。
  • 2つのポートの出力の位相がポート2では進み、ポート3では遅れ、各ポート間で90°の位相差となる。
設計
  • システムのインピーダンスZ0を50Ωで、周波数 f(MHz)を 3.65MHzで設計すると、
    L1 = L2 = Z0(Ω)/2πf(MHz) = 50/(2π×3.65) = 2.18μH
    C1 = C2 = 106/2πf(MHz)×2×Z0(Ω) = 106/(2π×3.65×2×50) = 436pF
    になる。
  • 実際に使う C1 C2の容量は、コイルL1 L2の線間容量を測定し、線間容量を引いた値にする。(線間容量はおおよそ 1pF/cmである。)
  • クワッドレチャ・ハイブリッドは本質的に狭帯域で、共振しているともいえるため、トロイダルコアには高周波の共振インピーダンスの安定度の高いカーボニル鉄粉系を使う。コア材は目的周波数でQが高いものを使うのが理想的である。
  • 位相が90°になっているかどうかは、ハイブリッドの端子を終端し、その端子電圧をオシロスコープのX,Y入力に接続して、リサージュ波形が円になっているかを確認する。LCの値が不適当な場合は楕円になる。
クワッドレチャハイブリッド定数計算

システムインピーダンスは50Ωです。
定数例 周波数=3.65MHz L=2.18μH C=436pF

(1)使用したい周波数(MHz)を入力して下さい。(デフォルト 3.65MHz)
(2)ENTERを押して下さい。

入力 結果
   周波数 = (MHz)  L =  (μH)
計算  C =  (PF)
トロイダルコア巻数計算
(ハイブリッド・バラン用)

 (1)コアの種類を選んで下さい。
(2)希望するインダクタンスを入力して下さい。(デフォルト 2.18μH)
(3) ENTERを押して下さい。
0.5MHz~10MHz用 #2 赤色 10MHz~30MHz用 #6 黄色
赤色 T-200#2 (1000W以下) 黄色 T-200#6 (1000W以下)
赤色 T-130#2 (660W以下) 黄色 T-130#6 (660W以下)
赤色 T-68#2 (350W以下) 黄色 T-68#6 (350W以下)
インダクタンス= (μH) 巻数= (回)
計算
トロイダルコアのインダクタンス計算法と最大通過許容電力
  トロイダルコアの巻線数の数え方
トロイダルコアの巻数は間違いやすい。トロイダルコアの穴の中に1本線を通すと1回巻コイルになる。

分布定数回路によるもの
ラット・レース

P1より電力を入力した場合、P2とP3に同相の電力が半分ずつ出力され、P4には出力は現れない。P2-P3間はアイソレーションがあり、電力は伝達されない。

この回路を50Ω回路で使うときは、
・λ/4、3λ/4の同軸ケーブルは50Ωのものを使う。
・P4は50Ωで終端する。
ブランチ・ライン

クワッドレチャ・ハイブリッドの分布定数版といえるもの。P1を入力とした場合、P2の出力の位相がP3に対して90°進む。P2とP3に電力が半分ずつ出力され、P4には出力は現れない。P2-P3間はアイソレーションがあり、電力は伝達されない。

この回路を50Ω回路で使うときは、
・上下のλ/4の同軸ケーブルは35Ω(75Ωの同軸ケーブルを並列接続)のものを使う。
・左右のλ/4の同軸ケーブルは50Ωのものを使う。
・P4は50Ωで終端する。
ハイブリッドリング(マジックT)

P1より電力を入力した場合、P2の出力の位相がP3に対して180°進む。P2とP3に同相の電力が半分ずつ出力され、P4には出力は現れない。P2-P3間はアイソレーションがあり、電力は伝達されない。

この回路を50Ω回路で使うときは、
・λ/4、3λ/4の同軸ケーブルは75Ω(≒50√2)のものを使う。
・P4は50Ωで終端する。
ウイルキンソン

P1より電力を入力し、P2とP3に同相の電力が半分ずつ出力される。P2-P3間はアイソレーションがあり、電力は伝達されない。

この回路を50Ω回路で使うときは、
・λ/4の同軸ケーブルは75Ωのものを使う。
・Rは100Ωのダミーロードを使う。

参考文献など トロイダルコア活用研究 山村 英穂 CQ出版社
MWAVE-LABORATORYのマイクロ波の世界!
Low-Band DXing by John, ON4UN ARRL
TK5EPのページの、Four square phased verticalsのページにはハイブリッドや4SQについて解説されている。
Micrometalsのページにはこのページに記載した以上の種々のコアのデータが記載されている。
7MHz 4SQUAREバーチカルアンテナ 和田守功 CQ誌 2002 1月号