T2FDアンテナの最適化設計

 

進行波型アンテナのひとつにT2FDアンテナがある。 このアンテナは折り返しダイポールアンテナの先端を終端抵抗でショートしたもので、2〜30MHzに対応する広帯域アンテナである。 主として航空基地局、通信社、軍用として仮設基地局用の送受信アンテナとして利用されている。

利得は通常のダイポールアンテナと比べて劣るが、1条のアンテナでHF帯ほぼ全域をカバーできる利点を持っている。 しかしながら大きさは比較的大きく、横方向の長さAを20〜25mが必要とされてきた。

T2FDアンテナの形状

 

HF帯の内、高い領域10〜30MHzで使用する目的で、T2FDの小型最適化を目的として、コンピュータシミュレーションによりAの長さを変化させ、アンテナの利得とSWR特性について調べた。 なおBの長さを0.51m、終端抵抗は1080Ω、給電部に挿入してあるバランは16:1のものを使用し、特性インピーダンス50Ωの同軸ケーブルで給電することを前提とした。

● モーメント法による最適化シミュレーションの結果(PDF形式)

シミュレーション結果よりAの長さを10mとし、実際に試作品を製造しほぼ実用的であることを確認した。 これにより従来のT2FDアンテナの1/2の長さで10〜30MHzの通信に利用可能な広帯域アンテナを得た。